弊社が開発・販売している製造業向けハイ・レスポンスVRソフト「Xphere」は、2020年12月に新バージョンV1.3をリリースします。V1.3では、VPS IOC連携機能と検証結果を記録するレビュー機能を強化します。
本記事では、V1.3の新機能について紹介します。
V1.3では、装置の制御デバッグ検証で実績のあるVPS IOC との連携機能を実装しました。これにより実機を作ることなく、制御デバッグ後の装置について人が関わる検証も事前に行うことができるようになりました。
VPS IOCは、デジタルモックアップの機構モデルに、モーター / センサーの定義を加え、動作を再現することで、制御プログラムの検証を仮想メカで実施しています。これにより、実機の無い段階で制御デバッグ作業を実施でき、開発リードタイムの短縮と手戻り工数の削減を実現しています。
しかし、人が関わる検証は、ディスプレイ上では限界があり、実機と制御プログラムの完成を待たなければなりませんでした。
Xphereは、VPS IOCの仮想メカ動作をVR空間上に再現することで、開発プロセスの初期段階で、人とメカの動作を同時に検証することを目指しました。
開発プロセスの後半で、作業者の視点から見えるメカの動き、部品交換に伴う作業姿勢、装置の使い勝手に関する不具合が発生してしまうと、短期間での対応を余儀なくされ、場合によっては、対策が不十分なまま稼働してしまうこともありました。
これに対してVPS IOCのデータをVRで再現することで、3Dモデルと制御プログラムが完成した時点から、人とメカの動作検証を同時に開始できます。これにより、早い段階から不具合対応に取り組め、高い品質で製品を完成させることが可能となります。
また、実機による検証では、メカ同士の干渉による破損や、人とメカの接触による怪我の可能性があるため、メカをゆっくりと動かしながら制御デバッグを実施していましたが、VRであれば人とメカが接触をしても怪我や機器の破損の心配がないため、実作業と同じ条件で、効率的に検証が進められます。
さらに、リアルスケールでメカの動作を再現できれば、実機がなくとも手軽に実機の動きを確認できるようになります。
XphereのVPS IOC連携は、VR空間上で“人とメカの動作が関わる検証を同時に実現”することで、装置開発に関するQCD向上を実現します。
Xphereは、検討結果に対して任意の画像と音声をセットにしてVR空間に残せるようマーク機能を強化しました。検討が必要な箇所や危険な箇所毎に、画像を使い分けることで、指摘内容が分類され内容を把握しやすくなります。さらに、音声をコメントとして録音することで、キーボードを操作することなくコメントを残すことができます。
マークは、Xphereデータに保存でき、送付することで別の作業者や他部門の関係者にもリアルスケールで指摘内容を確認していただけます。従来のキャプチャーによる指摘箇所の確認では伝わらない作業者視点での見えづらさや手の届かなさなどの問題点をマーク箇所や音声によるコメントで正確に共有することができます。また、マークが記録されたXphereデータは、DIPRO VridgeRに読込むことで、ヘッドマウントディスプレイを装着することなく、ディスプレイ画面上で検証内容を確認することもできます。
新しいデバイスへの取り組みとして、ManusVR社製グローブデバイスを用いて、VR空間上で指のトラッキングができるようになります。これにより、VR空間で指の動きを確認できるようになり、より詳細な検証が可能となります。
V1.3は、VPS IOC連携により開発の初期段階から“人とメカの動作を同時に検証する”ことを可能にします。Xphereは、今後も弊社製品である、DIPRO VridgeR、VPS MFG、VPS GP4、iCAD SX、Space Vertexとの連携を強化し、よりリアルで詳細な検証をVR空間で可能にするDIPROバーチャル工場を実現します。
これからも人が関わる製造課題を解決するVRシステムとして、Xphereをお客様と共に創りあげてまいりますので、今後も製造業のためのVirtual Reality「Xphere」にご期待ください。
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