2019年4月にリリースいたしましたXphere(クロスフィア)は、Virtual Reality体験会や、展示会出展を通じて、1,000名を超えるお客様にご体験いただきました。多くのお客様より「VRは酔うから、まだ業務には使えないと思っていたけど、Xphereは酔いませんね」、「VR空間内で部品を動かせるXphereなら実機に近い感覚で組立性の事前検証が行えますね」など、ご好評いただいております。
2020年7月リリースの新バージョンV1.2では、Xphereが持つ高いVR基本性能をベースに、組立保守の作業性検証にご利用いただける機能の強化、そして、iCADをご利用中のお客様からご要望がありましたiCADダイレクトインポートなど、富士通 / DIPRO製品との連携強化を行いました。
VRの期待効果は、「物理試作の削減」、「実作業の置き換え」、「時間と場所の超越」と言われています。Xphereは、こうした効果を実現すべく、操作レスポンスを損なわずに機能を実装することに日々取り組んでおります。
V1.2では組立保守の作業性検証に有効な「部品の移動」と「部品を持つ」操作をよりリアルに再現する機能を実装いたしました。
今までは、部品を持ったコントローラの振動により、部品の干渉を判断していました。
V1.2では、持った部品が他の部品と干渉した時に、持っている部品がその場所で止まるため、干渉を目で確認することができます。部品が干渉しないように回しながら取り外す・取り付けるといった実作業で行われている複雑な動きの再現も可能になります。
VR空間では、手や指が部品に触れる感覚が再現できないため、多くの部品の中から意図する部品が掴みにくいという課題がありました。
V1.2では、CADやViewerのように、掴む対象となる部品の事前ハイライトを行いました。また、コントローラ形状の表示では、部品を持つ感覚が湧きにくいというご意見に対して、表示されるコントローラを手のモデルに置き換える事で、部品を手で掴む感覚を再現しました。
さらに、新デバイスとして、Manus VR社製のグローブデバイスと、「VALVE Index」のコントローラに対応し、指の動きの再現にも取り組んでおります。
Xphereは、富士通 / DIPROでご提供しております「ものづくりを支援するパッケージソフトウェア」との連携強化を行い、これらパッケージソフトウェアで検討した結果を、VR空間で作業者の視点で検証することを目指しております。
既に対応済のVridgeRとVPS MFGからの形状、および、工程のダイレクトインポートに加え、V1.2では、iCADのダイレクトインポート、VridgeRからのアニメーション属性の取り込みなど、連携強化を行いました。
iCADデータの形状と、部品に設定した材質色を、直接Xphereに取り込めるようになりました。
設備機械の設計フェーズで、製造部門の方や設置先のお客様にリアルスケールの設備を確認いただけるため、立ち会い時や、設置後に発覚する問題を事前に見つけ出すことができ、手戻り工数やコストの削減を図ることが可能となります。
VridgeRで定義したアニメーションをXphereに取り込み、VR空間で動きを確認することができるようになりました。VR空間で部品の組み付け、取り外しの動きを再現することで、組み立て作業やメンテナンス作業の手順の確認など、教育にもご利用いただけます。
DIPRO VridgeRで定義されたアニメーション
Xphereでアニメーションを再現
ご紹介しましたV1.2では、組立性検証のリアル性を強化しております。今後も、組立性検証機能の更なる強化、「時間と場所の超越」を実現する拠点間共有機能、そして、富士通 / DIPRO製品との連携強化など、Xphereは進化を続けます。
VRシステムは、人の動きに追従する高速レスポンスと、検証する人の思考を妨げない直感的な操作が重要であると考えています。これからも人が関わる製造課題を解決するVRシステムとして、Xphereをお客様と共に創りあげてまいります。
今後も製造業のためのVirtual Reality「Xphere」にご期待ください。
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