昨年11月、ベトナムのハノイに出張する機会がありました。ベトナムは南北に大変細長い国であり、今回訪問したハノイは南のホーチミンから1,700キロも離れています。ハノイはホーチミン国家主席の霊廟もある政治都市ですが、近年は野村證券や住友商事の大規模な工業団地も完成し、日系企業の投資も活発化しています。
ハノイの玄関口であるノイバイ国際空港から市内まではおよそ40キロあります。整備されたハイウェイ沿いには日系企業の巨大な看板が立ち並んでいるのが見えます。ベトナムに進出している日系企業は約500社で、数でこそ台湾企業や韓国企業より少ないですが、同国からの海外輸出額としては上位3社を日系企業が独占しています。このため、ベトナムでは日系企業の存在感は大きく、就職のために日本語を勉強する学生も増えているそうです。
ハノイ市街に入りますと、洪水のようなオートバイに驚きました。ベトナムでは国民8,000万人に対して四輪自動車の保有台数は80万台ですが、バイクは1,500万台も普及しているそうです。庶民の足はバイクが主役であり、マイカーならぬ「マイバイク」に曲芸乗りのような妙技で家族4人が乗っているのも見かけました。(ちなみにベトナムではバイクのことを「ホンダ」と言うそうです)
まだまだ二輪車が主役のベトナムですが、政府は自動車産業育成を国家事業として位置づけています。海外からの投資も積極的に受け入れ、現在は11社の外国メーカーがひしめき合っている状況です。
政府の計画では2020年には現在の10倍に当たる年間40万台の生産計画を立てていますが、一方で基盤技術が脆弱なベトナムでは、部品調達率が数パーセントに過ぎず、タイ等の他のASEAN諸国と比較しても大きな格差があります。自動車産業では裾野産業の育成が今後の大きな課題となっているようです。
ベトナムの強みは安価で安定した労働コスト、また勤勉で粘り強い労働者の質であると言われています。大規模なインフラを必要としないソフトウェア開発のような労働集約産業も今後期待されている分野です。富士通もハノイで日本のお客様向けにプログラム開発をしております。現地スタッフの定着率も高いそうで、流暢な日本語を話すベトナム人エンジニアが当たり前のように日本語の仕様書を読んでいる姿が印象的でした。
今回は大変短い滞在でしたが、エネルギーに溢れ、また将来に対して大きな希望も持っているベトナム人と接していると、今後発展していく大きな潜在力を感じました。
(営業部 次長 栗原裕之)
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