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DIPROニュース

2008

2月号

2008.02.10

欧州最大級のCAEユーザー会議に参加して

会場のInternational Congress Center
会場のInternational Congress Center

図1.構想段階でのCAE適用の方策説明図
図1.構想段階でのCAE適用の方策説明図

会議の様子
会議の様子

開催記念パーティ
開催記念パーティ

ゼンパーオペラ
ゼンパーオペラ

昨年11月21日~23日にドイツのドレスデンで開催されましたCADFEM user's meetingに参加しましたので、ご報告します。

CADFEM社はCAEソフトの販売から機能追加、技術開発を行っているドイツのエンジニアリング会社です。CADFEM社が扱っているソフトであるANSYS(構造解析ソフト)、LS-DYNA(動的衝撃解析ソフト)、FLUENT(流体解析ソフト)は広く普及しており、この会議にもBMW、Boschなどの欧州の自動車、部品メーカー、さらに機械、電機、大学など欧州中心に16カ国から、約800人の参加があり、CAEのユーザー会としてヨーロッパ最大規模になっています。

このような大規模な会議を通して、最近の欧州の状況を確かめようという目的で参加しました。

弊社からは、「構想段階でのCAE適用」について、講演を行いました。この講演では、構想フェーズでの性能設計手段の一つとしてCAEを活用することの意義とそのための方策(*図1参照)を例示しながら論じました。

構想段階でのCAEについては、多くのCAEソフト開発元も重視しており、日本でも構想段階で使うCAEソフトが注目され、今後さらに活発に議論されるようになりそうです。

今回は主催のCADFEM社なども訪問し、自動車業界では、サプライヤーの業務が部品開発からシステム開発(例えばドアからドアシステム)へシフトが進んでいることと、燃料電池、電気自動車などの新技術へのCAEの適用が必要となり、より高度な機能を要求されている状況が、わかりました。

弊社でも、次期NXの大幅に強化されたCAE機能を駆使して、お客様のより高度かつ使いやすいCAEツールの活用や、構造、流体などのCAEソフトの様々な利用技術の提供をしておりますが、このような欧州のニーズの動向を見てもまさに同様で、いち早く皆様にお役に立つようしなくてはと、改めてその重要性を確かめることになりました。

CADFEM user's meetingは、3日間12会場に分かれて合計約300の講演が行われ、出展ブースも35を数える大掛かりなものでした。さらにエキシビションや記念パーティもたいへん盛大に行われました。

CAEに対する明るい大いなる期待とそこに情熱を燃やすお客様やスタッフを見て、私もCAEを進めるスタッフの一員として、お客様の未来のためにもっともっと貢献していきたいと強く感じて会場を後にしました。

ドレスデンの町も、クリスマスシーズン前にもかかわらずショッピングモールも高級デパートも人でごったがえしていました。単月貿易黒字200億ユーロといわれるドイツの最近の好景気を示す華やかさでした。

ドレスデンは、1843年にワーグナーの歌劇「さまよえるオランダ人」が初演されたことなどで知られるゼンパーオペラなど歴史的建造物が多く、世界遺産にもなっている美しい町です。

しかし、歴史遺産の一部の外壁が不自然にモザイク模様のように新しい部分となっていることに気がつきます。第二次世界大戦の大規模な空襲で、多くの歴史遺産も被害を受けました。現在の建物は、その修復のために瓦礫を一つ一つ拾い集め、可能な限りパズルのように組み立てていくという気の遠くなるような方法で、再現する作業が延々と進められてきた結果だということです。

元気なドイツ、元気なCAE会議から、これからの活力をもらったと同時に、町の歴史を誇りにして、平和の大切さを後世に伝えていこうという、ドレスデンの人々の強い情熱にも心を打たれました。

(デジタルコンテンツサービス部 荒井 昭)

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