昨年末、12月24日にリリースいたしました、機械・装置向け3次元CAD ICAD/SXの最新バージョンV6の主な特長をご紹介させていただきます。
機械・装置分野では、3次元CADで扱いたいデータ容量が増加傾向にあります。従来の3次元CADの適用範囲はユニット間での不具合削減でした。しかし、現在では機械装置における構造の最適化やライン検証、さらには生産工程の最適化まで拡大しています。
このような状況から、V6では40万部品もの大規模アセンブリデータを超高速処理できるCADカーネルとデジタル立会いを実現する検討・検証機能を大幅に強化いたしました。
デジタル立会いとは、設計と生産準備のコンカレント化により、リードタイムの短縮と出図後の手戻りゼロを目指した設計環境のことです。
以下に主な開発項目を紹介いたします。
機械装置に最適な独自のCSGソリッド技術の強化と新開発の超高速形状処理エンジンを搭載しました。これにより、V5に比べ、V6でメモリー使用量を1/8まで削減し、32bit版 2GBのパソコン環境で扱えるデータ容量を40万部品にまで拡大することができました。一般的な3次元CADでは一度に表示できるのは数百部品が限界のため、装置全体や設備ラインの全データを扱うことができませんでした。そのため、大規模アセンブリ設計を行う場合、3次元CADとDMUを使い分ける必要がありました。一方、ICAD/SX V6は、一般的な3次元CADの100倍以上のデータ量を扱うことが可能となり、1つのツールで装置から設備ライン全体の設計まで対応することができます。さらに、40万部品もの設備ラインのモデル作成・編集の作業において0.2秒というレスポンスを実現しています。
構想設計から詳細設計へ進む中で3次元モデル、2次元補足図、アセンブリ構成、部品属性、仕様・指示など、設計データが徐々に成熟していく過程を支援する独自のCADデータベースがICADデータ衝です。また、要となる設計データの全ての情報を一つのデータファイルに収め、一元管理することにより、設計者は、データ変換・管理などの手間や負荷を感じることなく、思考の具現化や検討・検証に集中することができます。
従来、設計部門から生産準備部門へデジタルデータが提示されるのは、設計内容が確定した出図後でした。そのため生産準備、例えば、動きや組立性、保守性、配管・配線の取り回しなどの検討・検証プロセスにおいて問題が発覚すると設計への手戻りが発生していました。
ICADデータ衝の実現とビルトイン型の検討・検証機能の強化により、設計の早い段階から他部門とのデザインレビューや立会い検証を行えるデジタル立会いが可能となりました。デジタル立会いの狙いは、設計と生産準備をコンカレント化してリードタイム短縮と出図後の手戻りをゼロにすることです。このデジタル立会いを実現するには、大規模アセンブリデータの超高速処理、ICADデータ衝が不可欠です。これらの設計環境の上にビルトイン型の検討・検証機能を強化していくことで、はじめてデジタル立会いが成立します。
ICAD/SX V6での、検討・検証機能強化の一例として干渉チェックの性能改善をご説明します。一般の3次元CADでは、数百部品程度の干渉チェックで30分以上かかってしまうケースもあるため、設計中に容易に干渉を確認することさえできません。ICAD/SX V6は、36,000部品の干渉チェックを22秒(370箇所検出)で行うことができます。
以下にビルトイン型の検討・検証のオプション機能についてご紹介いたします。
設計者は、構想段階から動きを定義するために、機構とタイムチャートを並行して設計しています。従来は、設計後にDMUを活用し、機構とタイムチャートを連動させ、検証作業を行っていました。今回開発した同期モーション機能により、設計の早い段階から、動きの定義とタイムチャートを連携させた部品動作タイミング検証が可能になりました。
「金型設計システム」は、自動車用樹脂成形部品製造、樹脂成型用金型の設計・製作を担う、シミズ工業株式会社様のご協力を得て製品化を実現しています。金型設計は、自由曲面を駆使したキャビコア部とアセンブリ設計が主体となる金型機構部に分けることができます。
従来、ハイエンド3次元CADにて両方の設計が進められてきましたが、金型機構部の設計において処理性能が遅く、試行錯誤できないことなどが問題として指摘されていました。そこで、大規模アセンブリでの超高速処理と試行錯誤が得意なノンヒストリ型の操作性を実現したICAD/SX上に、金型機構部の設計に必要な機能を開発しました。これにより、キャビコア部をハイエンド3次元CADで、機構部分をICAD/SX「金型設計システム」で設計できる、適材適所の設計環境を実現しました。
配管設計システムの機能強化は、神鋼テクノ株式会社様のご協力を得て製品化を実現しています。今回、配管ルールベースを搭載したことで、系統ごとの仕様(内容物、圧力など)により部品群を決められるため、部品選択の手間やミスが大幅に削減できます。
また、管一品図作成時では、寸法線を自動作成、3次元形状をシンボル化したスプール図への変換を実現しました。部品の自動集計と部品表作成機能を連動させることにより、大幅な設計工数の削減を実現できます。ICAD/SX V6はお客様業務の生産性向上、効率化に必ずお役に立てることと思います。
製品名 | 製品価格 |
---|---|
ICAD/SX Mechanical PRO V6 (ベース) | 138万円~ |
同期モーション機能(オプション) | 45万円~ |
金型設計システム(オプション) | 80万円~ |
配管設計システム(オプション)(注1) | 45万円~ |
(注1) 配管設計システムはV5版もありますが、V6の機能強化版が2009年第1Q頃ご提供の予定です。
ICADインフォメーションセンター
TEL: 0120-004-967 FAX: 0120-006-583
ホームページ: http://jp.fujitsu.com/solutions/plm/cadcam/icadsx/
(ICADビジネス部 課長 清水 久行)
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