昨年から続いた厳しい経済状況も、一部では底打ち感が出てきたと言われていますが、製造業全体が急激に回復するという状況にはほど遠く、いまだ予断を許さない状況が続いています。こうした環境の中、コスト削減のためのギリギリの努力を続けておられるお客様は数多くいらっしゃいます。そのようなお客様からは、導入3年後に大きな効果が得られるツールよりも、たとえ小さな効果であっても、すぐに効果が得られるツールが求められています。本項ではコスト削減とエコロジーの両立を即座に実現するソリューションをご紹介させていただきます。
プレス製品では、部品形状のレイアウト歩留まりを向上させることにより、相当のコスト削減が可能ですが、多くのお客様では、ベテラン社員の長年の経験と勘に基づき、高い歩留まり率を手動で算出してきました。そのため、今回ご紹介するツールにより自動計算された最大歩留まり率は、ベテランの方々の手動検討による最大歩留まり率と比較すると、数%あるいはコンマ数%しか改善されないかもしれませんが、確実に歩留まり率の向上を実現します。しかし、現在のような状況下だからこそ、そのわずかな改善も見過ごすことはできません。鋼板使用量によっては極めてわずかな改善も大きな利益につながり、さらにそれがそのまま省資源につながります。今までコスト削減のために努力されてきたお客様こそが最もそれを実感されることと思います。
一方で、歩留まりを向上させることだけに注力してしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことにもなります。材料コストを抑えるために、多大な労力と時間を費やし、より高い歩留まり率でのレイアウト結果を導き出したとしても、結局はわずかな向上率での材料コストの削減効果を人件費が打ち消してしまう、といったことになりかねません。さらに、時間と労力をかけることなく高い歩留まり率での高速レイアウト計算が可能になったとしても、部品の設計データから計算された展開形状データが成形性の高いものでなければ、結局は試作を繰り返すことになり、材料と工数の無駄が発生することになってしまいます。
つまり、プレス部品の製造においては、部品の展開形状誤差の最小化、歩留まり率の向上、検証時間の短縮化、という課題を個々に解決しても、大きな効果は期待できないばかりか、別な課題を発生させる可能性もあるのです。ところが、一連の工程を通して課題をクリアすることで、より大きくさらには即効性の高い効果が得られることになります。
そこで、プレス製品の製造工程においてコスト削減を即座に実現する製品、展開形状予測ソフトウエア「FASTBLANK」と、歩留まり向上ソフトウエア「DIPRO Nesty」を組み合わせたソリューションをご紹介いたします。
まずは展開形状の作成です。設計CADから出力されたデータをFASTBLANKに読み込みませ、材料・板厚などの成形条件を指定し、計算することで、部品形状から展開形状を予測します。その際、成形性の歪みも表示可能のため、成形性を予測することができます。
次に、展開形状データをDIPRO Nestyに読み込み、最大歩留まりレイアウトを計算します。DIPRO Nestyでは材料DBを使用した特寸材や定尺材でのコスト計算や、複数個取り、異形レイアウト計算なども可能です。いずれも操作は簡単で、既存のCAD/CAM連携もスムーズに行えます。
これらソフトウエアは、10月14日から東京ビッグサイトにて開催される、「MF-Tokyo 2009(プレス・板金・フォーミング展)」に出展いたします。ぜひ、会場で実際にお試しください。また詳細は弊社営業部までお問い合わせください。今だからこそ即座に効果を発揮するご支援をご提供させていただきます。
(営業部 主査 森本 茂樹)
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