航空機・自動車・建設機械などの設計製造ユーザー様にご好評をいただいております、デジタルプロダクションツール DIPRO VridgeR(ブリッジャー)の最新バージョンV3.10をリリースし、2010年12月より順次出荷を予定しています。VridgeRは、独自の超圧縮立体技術と高速かつ高精度な表示技術を搭載し、高速なレスポンスによる干渉チェックをはじめとする、大規模なデジタルモックアップでのレイアウト検討から、3次元データをフルに活用した精細なイラストを使用したマニュアル作成まで、設計・製造における幅広い業務でご利用いただいております。
V3.10では、VridgeRによる3次元データ活用の領域拡大を目指した工程検討機能とカタログ作成支援機能を新たに追加しました。さらに、JT Ver9への対応やCADコンバータと各機能群の強化、および改善を行っています。ここでは、それぞれの内容についてご紹介いたします。
V3.10では超大規模3次元データを扱えるVridgeRの強みを活かし、フルアセンブリでの工程検討を行えるようにしました。従来のVridgeRでも設計での構成ツリーをそのまま読み込むことはもちろんできますが、生産準備段階では必ずしもその構成ツリーが使いやすいものではありませんでした。
新しく追加した工程検討機能は、3Dモデルや設計ツリーから工程検討ダイアログ上に直接部品をドラッグ&ドロップすることにより、工程を作成し表示します。さらに必要に応じて編集することも可能なため、より高品質な工程検討を行えるようになりました(図2参照)。
これに加え、工程毎の表示や抜け漏れチェック、組み付け方向視点の登録など工程検討に必要な様々な機能を準備しました(図3参照)。
さらに他システムとの連携を考慮し、工程のCSV出力、およびCSVファイルをテンプレートとして読み込むことが可能です。
工程検討機能は、航空機、自動車サプライヤ、建設機械、造船等の業界でサイマル段階での設計と平行した生産検討や生産準備、大規模な設備設計での活用を想定しています。Excel表上での検討では工程の成立性が十分確認できず、一方で高度なプロセスシミュレータでは設定が複雑で使いこなしが難しく利用者が限られがちです。VridgeRの工程検討機能は、設計者の「アセンブリプロセス検討」と生産準備の「組立・バラシ検討」を簡単操作で、誰でも手軽に行えることを目指しています。
最近、製品CADデータを利用したカタログ用CG画像作成が行われるようになりました。ところが大規模な製品データはCGソフトでは分割しないと扱えないため「不要データの削除」、「データ仕分け」等の前処理と言われる準備作業に本来のCGデータ作成に匹敵する作業工数が発生しています。
今回ご提供するVridgeRのカタログ作成支援機能は、不要なデータを自動・半自動で削除する陰面処理機能とCG系ソフト用中間フォーマットにエクスポートするFBX/OBJ出力機能で構成されています(図4参照)。
これらの機能によって、不要データの削除や仕分等をフルアセンブリの大規模な製品データのまま行えるようになりました。これは前処理工数の大幅な削減に繋がり、またFBX/OBJ出力を利用することにより前処理後のデータをスムーズにCG系ソフトへと連携できるため、結果として本来のCG作成作業である仕上げ作業に十分な工数を取ることができるようになります。このようにVridgeRのカタログ作成支援機能は、カタログ品質の向上に大きく貢献します。
主要CADの最新バージョンへの対応、アノテーション読み込みを含めた品質改善を行いました。まず、JTの最新バージョンJT Ver9に対応し、さらにJT Brep変換にも対応しました。これによりJTデータに関しても他のCADダイレクトコンバータと同レベルの読み込みが可能になります。
またCADで付与された部品属性を取り込み、VridgeRの部品プロパティで確認することができるようにしました。さらにNXアノテーション変換を拡張し、データムターゲット・カスタムシンボルも読み込めるように改善を行いました。
VridgeRによる干渉チェックは、他の競合製品と比較しても高速かつ高精度で、特に処理の速さには定評があります。しかし、処理が速くても多数の共通部品を含む大規模データで繰り返し干渉チェックを行った場合、同一結果を繰り返し確認するということが発生し、干渉チェック後の後処理業務が大変でした。そこで、結果判断をCSV出力できるようにし、出力された結果を読み込んで前回結果を反映できるように、干渉チェック前回結果取込機能を追加しました。これにより、多数の共通部品がある大規模データでも共通部品については、同じ結果を確認する必要が無くなり、後処理業務の効率を大幅に改善させることができるようになりました。
その他の機能強化・改善項目として、
など、お客様のご要望にお応えする形で機能の強化・改善を行いました。
さらに、新OS Windows 7に対応します。Windows Vista、またはWindows XPからWindows 7へと移行を検討されているお客様が多数いらっしゃる現状を踏まえ、OS移行後も引き続きVridgeRを利用していただけるようV3.10ではWindows 7に対応しました。
ご紹介した機能の提供形態、価格などにつきましては、弊社営業までお問い合わせください。また11月25日開催のオートモーティブ デジタルプロセスセミナー 2010で展示いたしますので、是非実際にご覧ください。
(技術ソリューション部 橘川 薫)
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