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DIPROニュース

2012

4月号

2012.04.10

日本の航空機産業を支えるグローバル開発プロセス
~三菱重工業株式会社(航空宇宙部門)様でのVridgeR活用事例~

三菱リージョナルジェットMitsubishi Regional Jet (以下、MRJ)
三菱リージョナルジェット
Mitsubishi Regional Jet (以下、MRJ)

弊社DIPRO VridgeR(以下、VridgeR)は、設計から製造まで3次元形状をフル活用できるツールとして生まれ、3次元CADでは到底扱うことのできない車1台分のデータはもちろん、車の10倍にもなる大型航空機の大容量データも扱うことができる高性能を実現しております。

今回は、三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所様(以下、MHI名航様)におけるVridgeRの活用事例をご紹介いたします。

MHI名航様は、日本の航空宇宙産業の中心地である中部地区に大江工場、飛島工場、小牧南工場を擁し、航空産業のリーディングカンパニーとして最新鋭の航空宇宙機器を開発・製造されております。


Ⅰ.Viewerソフトの検証とVridgeRの採用

管理部 次長 渡辺様

MHI名航様とVridgeRとの出会いは、今から10年ほど前になります。当時、作業品質の大幅な向上を目指し、3次元データを現場の作業指示書に活用するためのViewerソフトの導入を検討されておりました。しかし、どのViewerソフトにも共通する2つの問題がありました。

1つ目は航空機でしか用いられないデータ要素がViewerデータに変換できないこと、2つ目は貼り付けた画像が粗く表示されてしまうことでした。

「実はVridgeRも同様の問題があり、採用をためらっていたのですが、デジタルプロセスさんが『要求に対応できるようソフトウェアを改善してきます』とおっしゃってくださり、約3週間後見事に直していただきました。このことから、私はデジタルプロセスさんの技術力が高く、しかも我々の要望にきめ細かく対応していただけることを実感することができ、採用するに至りました。」(渡辺様)

その後、ボーイング787などの新規開発で部分的に適用され始めました。


 

Ⅱ.開発プロセスの見直しとVridgeRの適用拡大

管理部 情報システム課
主任 石田様

MRJの開発は、海外パートナーと共同で進めております。グローバルな環境で協調して開発を行うために、渡辺様、石田様を中心にVridgeRを活用した開発プロセスの見直しに着手されました。

今まで、設計のみで活用されていた3次元データをエンジニアリングプロセス全般で活用することを狙いとしたコンカレントエンジニアリング/フロントローディング活動に取り組まれました。

この活動の中で、VridgeRは、設計検討作業、製造検討作業、品質検査作業などの設計/製造関連の支援業務の中核を担うツールとして適用されることになりました。


(1) 3D Viewerシステム概要

開発プロセス見直しの1つとして、3D Viewerシステムの構築に取り組まれました。

この3D Viewerシステムは、大きくVridgeRデータを蓄積する機能と、VridgeRデータを検索・取得する2つの機能を持ちます。

データ蓄積機能は、3次元CADデータや、CADデータを管理しているPDMの属性情報、また、PDMで管理されていないCADデータに対しても、夜間に変換を行い、変換データを3D Viewerシステムのデータベースで管理します。

データ検索・取得機能は、VridgeRがインストールされたOA端末からWeb画面にてPDMの属性情報を入力し、部品の検索や、部品構成情報を確認することができます。また、そのデジタルモックアップをVridgeRで表示することができます。

VridgeRソフト自体にもデータの流出を防ぐための独自のセキュリティ対策も施しました。

データ流通システム概要とVridgeR活用シーン

 

(2) VridgeR適用拡大

現場作業では高価なCADソフトの代わりに技術指示(3D図面)を参照するツールとしての活用も進めております。

具体的にはデータ変換時の誤差や制限の基準を定め、その制限内で作業者が参照できるようなインフラを構築しました

これらさまざまな機能開発を通じて、VridgeRは、単なる3次元データを見るだけではなく、設計から製造までのスルーザプロセスを流れる開発製造を支える基幹情報(3次元データ、設計意図、部品表、工法手順などが一体化したもの)を見るツールとして活用されております。

また、個々の部門でVridgeRを使うことにより、業務の標準化までも実現でき、コンカレントエンジニアリング/フロントローディング活動に大いに寄与しました。

その結果、2009年からはMRJの標準Viewerソフトとして採用され、現在は数千台の端末で使用されております。

写真 向かって左:三菱重工業株式会社 特別顧問 戸田様向かって右:デジタルプロセス株式会社 取締役 川見
写真 向かって左:三菱重工業株式会社 特別顧問 戸田様
向かって右:デジタルプロセス株式会社 取締役 川見

記念品贈呈(2012年1月撮影)
弊社の今までの貢献をご評価いただき、三菱重工業様から記念品をいただきました。

デジタルプロセスでは、三菱重工業様が掲げるITシステムにより業務プロセスを標準化し、「情報の流れを止めない」業務フローを確立するために、試験研究やシステム開発を通してお手伝いさせていただくよう一層尽力させていただきます。

展示会(設計製造ソリューション展)の様子

最後に、採用当初より弊社が出展しましたさまざまな展示会で、三菱重工業様のご厚意によりお借りしたMRJのポスター・画像は、ご来場いただいた多くのお客様の目を引き付け、弊社ブース全体の盛り上がりに著しく寄与していただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

(技術ソリューション部 二見)

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