去る1月18日(金)にヒルトン名古屋において「新春デジタルプロセスセミナー in Nagoya 2013」を開催いたしました。当日は厳しい寒波に見舞われ例年に比べても大変寒い日となりましたが、過去最多の320名超のお客様にお越しいただき、熱気で寒風を跳ね返すかの如く活気溢れるセミナーとなりました。ご多忙の中、ご来場いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
今回は「モノづくりの技術と情熱で未来を切り開く」をテーマに、基調講演では昨年夏に開催されたロンドン五輪にちなんで、シンクロナイズドスイミング五輪・世界水泳メダリストの武田 美保様よりご講演をいただきました。また、パナソニック株式会社 中島 正俊様、株式会社デンソー 清水 貞光様、三菱重工業株式会社 長野 健一様/中村 真徳様、トヨタ自動車株式会社 野口 泰様より、製品開発における現状とIT・デジタル技術を用いた先進事例をご紹介いただきました。
また、「もっとソリューション展示を見回る時間が欲しい」との多くのお客様のご要望を受け、今回は午前中より展示会場をオープンしました。さらに初の催しとしてDIPRO主力ソリューションの新機能説明会も展示会場にて同時開催し、お客様よりご好評をいただきました。
基調講演には、アトランタ・シドニー・アテネとシンクロナイズドスイミング選手として出場され、栄光のメダルを掴み取った武田 美保様に「目標達成に対する行動の明確化と思考法」と題してご講演をいただきました。幼少期から既にオリンピック出場を目標とされ、それを成すための中長期成長計画を、具体的なイメージを基に逆引きして立案/遂行し、結果を出してこられました。これはオリンピック選手でもビジネスマンでも同じであると感じ取れました。また、人ゆえに苦悩や逃げたくなる思いも当然あったとのことですが、ご家族やメンバーなどその時々で想いや目標を共有する方々との密なるコミュニケーションにより、前向き思考となって乗り越えられてきたとのことでした。
ご自身の経験あってこそ語れる熱のこもった弁を拝聴させていただいていると、ついつい我が身に置き換えてしまい、こみ上げてくるものがありました。
パナソニック株式会社の中島様より、グループ体制の再編に伴う会社統合によるグローバル開発環境の変化と基板構築の取り組みを進める中、それを活かすための3D CAD教育の重要性とその取り組みについてご紹介いただきました。
人材育成ではCAD研修や、スキルレベルを評価するための資格試験、お互いの技術力を競い合う競技大会(社内オリンピック)など、ユニークな取り組みをご紹介いただきました。
特に、CAD研修を行うにあたり、時系列に積み上げていくモデリングではなく、社内共通の設計ルールを盛り込んだ、機能ごとに誰が見ても分かりやすいモデリング教育マニュアルを整備されています。この取り組みにより、流用設計可能なデータ・第三者にも引き継ぎ活用できるデータを当たり前に作成できるようにし、開発効率の向上を目指しておられます。また、競技大会のご紹介ではグローバルで技術を競い合っている写真などを交えてご説明いただき、全社をあげて活発に人材育成に取り組まれているのが印象的でした。
株式会社デンソーの清水様は、2009年の新春DIPROセミナーにもご登壇いただき、設備設計の3次元化推進にあたりICAD/SXを活用することで2次元設計時の課題を解決してきた旨をご紹介いただきました。今回は3次元化によるさらなる効果創出として、設計者のCAD作業負荷軽減とVPSによる機械・制御シミュレーションの実用化の取り組みについてご説明いただきました。
設計が本来力を注ぐべき構想・機構検討に注力できるよう、正面方向判断・寸法作成・図面作成などの手間のかかる作業の自動化を取り組まれていることや、設計段階での機械・制御シミュレーションを行うことで手戻り工数削減や問題の早期発見に繋がったことなどをご紹介いただきました。
安価な海外拠点生産に頼るのでなく「日本で作っても勝てるモノづくり」を目指すとのデンソー様の発表に、期待を抱かずにはいられませんでした。また、弊社もさらなるパワーアップの必要性を強く実感いたしました。
三菱重工業株式会社 名古屋誘導推進システム製作所の長野様・中村様より、部品表構築にあたってオープンソースPLMのAras Innovatorを活用することで、投資コスト低減と一元化効果創出についてご紹介いただきました。
名古屋誘導推進システム製作所様の課題は、プロジェクトごとに異なる開発や生産形態/システムの老朽化/個別部門でのシステム開発限界/製品ごとに異なる3D CADなどがありました。これらを解決するために部品表を中心とした製品情報一元化システムであるMecs(Meiyu engineering chain system)を構築されました。
実際のMecs構築にあたっては、各部門の代表者が業務フローのAsIs/ToBeを検討され、作業の無駄や重複を洗い出しすることから始まったのですが、システムフローに落とし込む際にオープンソースであるAras Innovatorの強みを活かし、実機でFIT&GAPを確かめることができたとのことでした。また、オープンソースのもう一つの強みであるライセンスコスト抑制により、幅広いユーザーに活用できることができ、一元化の効果を最大限に活かすことができたとのことでした。
オープンソースPLMの採用との先進的な取り組みをお手伝いできたことは、弊社としても大変光栄に感じております。
トヨタ自動車株式会社の野口様より、設計初期段階での最適化CAEの活用による品質向上/開発期間短縮/コスト削減の取り組みについてご紹介いただきました。
従来の形状最適化プロセスでは最終形状に近い状態まで部品設計してから解析を行い、その結果から設計ノウハウを元に形状修正を行い、再度解析を行うという繰り返し作業が必要でした。よって、検討時間が設計スキルや繰り返し回数に左右されるため、ときとして膨大な工数がかかっていたとのことでした。また、解析結果をCAD化する際にも高度なCADスキルと多くのCAD作業時間が必要でした。
この課題の解決策としてトヨタ自動車様が導き出した1つの解が、初期形状早期作成のためのAdjoint法を用いた形状最適化手法構築と、解析結果スムージング/CAD化のためのImageware活用でした。
結果、形状修正~解析の繰り返し回数は100回近くから数回に削減でき、CAD化工数も数日から半日程度に削減できたとのことでした。
野口様からはImagewareを活用したさらなる作業自動化のご要望もあり、弊社としても実現に向けて最大限のご支援をせねばと強く思いました。
午前中に開催しました弊社主力ソリューション説明会では、初めての開催であるにも関わらず、用意した座席数が足らずに急遽追加するほどの盛況となりました。ご来場の皆様におかれましては至らない点があったことを深くお詫びいたしますと共に、早い時間からお越しいただき誠に感謝申し上げます。
参加されたお客様は熱心に内容のメモを取られたり、説明会終了後はすぐに周りのデモブースに実機確認に向かわれたりと、皆様にとって有益な情報をお届けできたのではないかと思っております。
ご参加いただいたお客様のアンケートでは、9割以上の方が次回の継続開催を希望され、早速「iCADをもう少し詳しく知りたい」「VPSのラダー図のチェック機能について知りたい」「説明会の回数を増やして欲しい」などのご要望をいただいております。
講演会場に隣接する会場では、ソリューションの展示やデモンストレーションを行いました。DIPROオリジナル製品やソリューション、シーメンスPLMソフトウェア社製品など、多数のお客様に熱心にご覧いただきました。
本セミナーにご出席いただきましたお客様から、貴重なご感想・ご意見をいただきました。ご協力ありがとうございました。 以下、一部をご紹介させていただきます。
いただいた貴重なご意見を糧とし、お客様のご期待ご要望にお応えできるよう社員一同努めてまいります。多数のお客様にご来場いただき、大変盛況なセミナーとなりましたことを社員一同、心より厚く御礼申し上げます。
(名古屋事業所 所長 川見)
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