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DIPROニュース

2013

4月号

2013.04.10

初期見積りの品質向上と期間短縮への取り組み
~三池工業株式会社様におけるDIPRO VridgeR活用事例~

本社(横浜市戸塚区)
本社(横浜市戸塚区)

主な取扱製品(ホームページより)
主な取扱製品(ホームページより)
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自動車産業を支えるプレス加工メーカーとして三池工業様は、常に品質向上と期間短縮を目指し、活動されています。より付加価値の高いモノづくりを目指し、自動車メーカーと共に製品開発を行い、グローバル規模での市場変化に対応すべく海外拠点との連携を強化されております。これらの取り組みを支えているのが図面の3D化(3次元図面)や3Dデータによる検討/検証です。

本社 : 神奈川県横浜市戸塚区
設立 : 1940年12月27日
代表者 : 取締役社長 橋本 武始
資本金 : 3億7,500万円
取扱製品 : 自動車車体部品
事業内容 : 
    1.自動車車体ならびに自動車部品の製造、販売
    2.プレス加工、板金加工およびその製品の販売
    3.金型および治工具の製造、販売
    4.その他上記に関連する一切の業務
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Ⅰ.3次元図面適用活動とDIPRO VridgeRの導入

(1)DIPRO VridgeR導入のきっかけ

三池工業様における3次元図面適用活動は、取引先からのデータ配信が、“図面”から“3Dデータと補足情報”に変った2001年より始められました。当初は、3DデータをDIPRO ALPHAで確認、三面図を作成し、社内へ展開していました。社内では2Dでの検討が基本で、3D環境が整備されていませんでした。

2004年取引先のCAD変更に伴い配信データ形式が変ったことが、DIPRO VridgeR(以下、VridgeR)導入のきっかけとなりました。現在は、技術部署、営業部署、購買部署を中心に活用されております。

(2)荷姿検討の作業時間を7割削減
投影面積機能
投影面積機能

最大外形寸法算出作業時間
最大外形寸法算出作業時間

見積りを行う際、荷姿を検討する部署から営業部宛に一度に50部品にもおよぶ外形寸法の問い合わせがあり、VridgeR適用前は3Dデータで寸法を測り、検討を繰り返しながら1日がかりで計測をしていました。VridgeRの「投影面積機能」を使用した結果、計測時間を8時間から2時間程度に短縮することができるようになりました。

(3)3Dデータでのトリムコンディション検討による作業時間短縮とさらなる効率化への課題

従来、技術部署では難しい部品の最適なプレス方向を決めるために、三面図を元にコンパス・定規・分度器を使い、1部品平均半日をかけてトリム角・傾斜角を求めていました。また、手作業による見落としがお客様への提案漏れにつながっていました。VridgeR V3適用後は、断面と計測機能を駆使し、トリム角・傾斜角を求める時間を短縮することができ、その結果、複数箇所の検討が行えるようになり、お客様への提案漏れを低減することができました。また、3Dデータはイメージしやすいため、クリティカルな箇所の検討がしやすくなり、属人性による品質のばらつきも低減されました。

このような中でも1日4部品の検証を行うのが限界でした。また、品質のばらつきは低減されたもののベテラン技術者と若手技術者との品質の差が新たな課題となりました。

Ⅱ.見積検討プロセスへのVridgeR V4(データ衝ビューワ)の適用

(1)プレス見積検討時間のさらなる削減
~お客様の声より誕生したデータ衝ビューワ機能~
プレス見積検討フロー
プレス見積検討フロー

トリムコンディション検討のさらなる工数削減、品質のばらつきをなくすため、見積を担当されている技術部 星野様より『トリムコンディションが断面や計測を行わなくても簡単に分かるようにできないか?』というご相談を受けました。このご要望こそが、VridgeRの目指す“データ衝ビューワ”の方向性と一致したのです。

そこで、VridgeR V4(データ衝ビューワ)は、プレス見積検討業務の内、形状データを展開する“ブランク展開”、抜き角困難箇所を特定する“インバース確認”、エッジ・穴のトリムコンディションや、穴平面チェック、穴間・軸間距離からせん断加工性を検証する“コンディションチェック”をターゲットとし、三池工業様と「トリムコンディションチェック機能」、「インバース面チェック機能」の共同開発を行うことになりました。

(2)データ衝ビューワ適用効果

共同開発のきっかけとなったトリムコンディションにおいては、加工範囲の情報(ノウハウ)をVridgeRに設定することにより、断面作成、計測を行わずトリムコンディションチェックの自動化を実現しました。その結果、品質のばらつきはなくなり、さらに工数半減を実現しました。また、自動化したことにより、検討の抜け漏れがなくなり、お客様への提案漏れを防ぐことができ、さらなる品質の向上も図ることができました。

インバースチェックにおいては、『断面・寸法作成で時間がかかっていましたが、隠面が可視化されること、部品全体を通して確認できることより、工数削減が大いに見込める』と星野様も期待を寄せられています。

トリムコンディション結果
トリムコンディション結果

トリムコンディションの検討時間
トリムコンディションの検討時間

インバースチェック結果
インバースチェック結果

Ⅲ.三池工業様の今後の目標と、データ衝ビューワとVridgeRへの期待

(1)自動化によるさらなる見積工数の削減
写真 三池工業株式会社 向かって左 西條様 向かって右 星野様
写真 三池工業株式会社
向かって左 西條様 向かって右 星野様

三池工業様では、コンディションチェックの自動化以外のフェーズにおいても自動化を念頭に活動されています。

『工程検討まで、自動化できると嬉しいし、業務の効率化を図る上で是非取り組んでもらいたい。』(西條様)
『実現は難しいかもしれないけどね、でも、トリムコンディションの自動化も最初は無理だと思った。そこまで自動化はされなくてもノウハウを織り込むことで、工程検討に必要な情報やひな形が出てくれると良い。』(星野様)

(2)デジタル検証の実現によるアウトプットの同一化

また、作業者による品質のばらつきを一定の水準まで落としたいとDIPROへも期待を寄せられております。
『ノウハウを属人化させず、デジタルにため込みデジタルで検証することにより、誰が行ってもアウトプットが同一になるようにしたい。経験と勘ではいけないところを目指していきたい。』(西條様)

(3)データ衝ビューワ・VridgeRへの期待

『より使い込むために、新しいViewerの形を見せてほしい。VridgeRを適用することでさらなる業務の効率化、改善を行っていきたい。』(星野様)
DIPROは三池工業様の今後の目標達成に向けVridgeR V4データ衝ビューワの改善を始め、最適なソリューションの提供やご提案をさせていただきます。

今回、三池工業様では初期見積検討プロセスの工数削減に寄与することができました。また、数多くの実務データで検証していただいた結果、データ衝ビューワとしての課題も見えてきました。引き続き、VridgeR V4でリリースしましたプレス・板金向け機能の開発・改善に取り組んでまいります。

さらに樹脂・モールド向けデータ衝ビューワ機能も順次開発し、実業務での適用を目指しています。これによりデータ衝ビューワをより広範囲な業務に適用していただけるようになり、自動車業界で三池工業様と同様の課題を抱えるお客様の一助となればと考えています。

(技術ソリューション部 二見、橘川)

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