この夏リリースを予定しておりますNXの最新バージョン「NX9」についてご紹介いたします。
NX9では、シンクロナス・テクノロジーの更なる進化などパワフルで効率的なモデリング機能が追加されております。このシンクロナス・テクノロジーは製品設計・サイマル・生産設備設計等幅広い範囲で活用が可能であり、特にデータ交換で取り込んだ非パラメトリックデータをまとめてドラッグ変形できるので構想検討などで威力を発揮します。
またCAE機能についてもモデリング効率が向上し、シミュレーションプロセスの時間を短縮できるようになりました。さらに、ソルバーの機能強化により、計算性能、精度、信頼性、および拡張性が向上しております。
NX9の製品設計における機能強化としましては、「シンクロナス・テクノロジー2D」や「シェイプリアライズ」といったモデリング機能の改善により、モデリングをより短時間で完了するためのツールが提供されております。他にも、製図やPMI(3次元注釈)に関するユーザインタフェースの改善により、よりシンプルな操作で作業ができる環境を実現しております。
NX9では、従来3Dモデリングにおいて活用されてきたシンクロナス・テクノロジーが、2Dスケッチにおいても利用可能となりました。これにより、3Dと2Dの両方で一貫性を持ったジオメトリの編集が実現されております。新たにスケッチャタスクに追加された「曲線をオフセット移動」「曲線のサイズ変更」などのコマンドでは、曲線ファインダにより、選択した曲線と同心・平行・同一長さといった幾何類似性を持つ曲線をまとめて選択することが可能です。
また、既存のスケッチ拘束が存在するか否かに関わらず、選択した曲線に対しての編集を行い、編集内容と拘束が競合する場合は、編集が成立するよう自動で拘束を修正します。これにより、スケッチの拘束状況にとらわれずに直観的な編集操作を行うことが可能となっております。
さらに、広サイズ・多数の曲線からなる大規模なスケッチにおいては、ST2Dを活用することにより、修正したい曲線ジオメトリを局所的に編集することができ、作業効率に大きな効果を得られます。
NX9より、新たな自由曲面作成機能として「シェイプリアライズ」が提供されました。
当機能では、球や円筒といった基本的なモデルをベースに、「ケージ」と呼ばれるモデルを取り囲んだ空間を編集していくことで、自由曲面で構成された形状へ変形させていきます。編集作業にあたっては、ケージが持つエッジやフェースをマウスドラッグで変形させる操作が主となり、簡単かつ直観的な操作で形状を作成することが可能です。当機能により、構想設計段階における意図表現手段として、コンセプトモデルを迅速に作成し活用することができます。また、熟練した意匠設計の知識を必要とせずに、一般の設計者でも品質のよい自由曲面モデルを作成することが可能です。
新たに追加された「レイトレーススタジオ」機能により、モデルオブジェクト間の光の反射・屈折効果を踏まえた、写実的なレンダリング表現をリアルタイムに確認することが可能となりました。レイトレーシングを用いたモデル表示は、メインのグラフィック画面とは別のウィンドウで実行され、グラフィック画面のズームや回転といったビュー操作に追従して、リアルタイム・ダイナミックなレンダリング表現を生成します。リアルな光源による高品質なイメージを表示できることにより、設計におけるデザイン評価と意思決定を早期に行うことができます。
(第一エンジニアリングサービス部 紺野 康史)
NX9では、リボンバーインターフェースの採用により、グラフィックス・ウィンドウが広くなり、よく使用するコマンドに最小限のマウスクリックでアクセスできるようになりました。機能面ではCAEプリプロセッシングが強化され、モデル作成やジオメトリ変更時の修正プロセスが改善しました。積層材機能ではランダム応答解析をサポートするなど、より複雑な問題に対応する新機能が追加されています。
メッシュのパターンを維持しながら形状を修正できるモーフィング機能が追加されました。既存メッシュの節点が移動し、メッシュが拡大または縮小しながら、指定したジオメトリに合わせて変更されます。この機能はメッシュの再作成とは異なり、メッシュパターンが維持され節点IDなどが保持されるので、更新プロセスを迅速に行うことができます。これは荷重点や評価点のIDがあらかじめ決まっている場合などに有効です。また、ジオメトリが存在しない場合でも、スケッチ(線、点など)などを利用する事でメッシュを変更することもできます。
積層材料機能にランダム応答用の解析ソルバーが追加されました。ランダム振動イベントに対するプライ毎の結果が出力可能となり、詳細な分析が出来るようになりました。また、3D積層材を同等な直交異方性材料とする均質プロパティとして出力出来ることにより、解析時間を短縮することが出来ます。
NX9の熱ソルバーでは並列計算が可能となり、大型モデルおよび長時間にわたる過渡解析にかかる解析時間を短縮します。流体ソルバーは基準の回転フレームの機能が強化され、回転流れ問題など、多くのCFDソリューションに拡張されています。また、ソルバーパフォーマンスの向上により大型モデルの場合ではメモリ使用率が最大40%縮小されます。サーフェスラップの機能が強化され、選択した任意の領域の流体ボディを詳細に表現し、解析に不要な部分は粗くするなどの設定が可能になりました。これにより計算に必要な箇所のみを詳細化できるので、流体ボディ作成プロセスの効率化が実現できます。
NX9の新しいアーティキュレーションオプションでは、グラフィック上のジョイントを直接ドラッグすることで任意の位置でのレイアウト検討が出来るようになりました。この際、機構的に限界以上のドラック移動が出来ないように制限する事が出来ます。サスペンションのように、稼働範囲が制限されているモデルに対し、制限をかけてドラッグする事で、重要な部品で干渉が起きないか確認することが出来ます。
NX Motionの解析およびポストプロセッシング機能では、マクロ機能のジャーナル処理が完全にサポートされているため、機構解析を自動化するカスタマイズが可能になります。
今回ご紹介いたしました機能の他にも、NX9ではお客様の声を基にした多くの機能が強化、拡張されています。NX9に関する詳細、またはご不明点などございましたら弊社までお問い合わせください。
(デジタルコンテンツサービス部課長 SE 布袋田 匡紀)
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