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DIPROニュース

2024

2月号

2024.02.13

3Dデータによるノウハウ活用
~3D類似形状検索 活用事例のご紹介~

近年のビジネスシーンでは、社内でのノウハウの共有や活用に注目が集まっています。しかし、皆さまの中には、どうやってノウハウを共有・活用すればよいかわからない、という方も多いのではないでしょうか?今回はノウハウ共有・活用の課題を解決する一つの手段である3D類似形状検索の活用事例をご紹介します。

ノウハウ活用が注目されている理由

ノウハウの共有・活用に注目が集まっている理由のひとつは、年々深刻となっている人材不足という大きな社会問題があります。下図は厚生労働省が発表した日本の人口推移のグラフです。このグラフからわかる通り、1990年代以降、働き手である64歳以下の人口が減っており、この先も減っていくと予測されています。

出典元:厚生労働省ホームページ

製造業も例外ではありません。人材不足という問題に加えて顧客要求も多様化し、それに伴い製品の多様化、複雑化も増しています。これにより、製造業では以下のような問題が発生します。

  • できる人に業務が集中してしまう、属人化
  • 検討精度が人によりばらつく
  • 検討不足による不具合の再発

このような問題は、ノウハウを活用できていないために発生します。

多くの企業では、モノづくりに関するノウハウは、様々なドキュメントに存在します。しかし、大量にあるドキュメントから、経験の浅い人は何をキーに探せばよいかわからず、有益な情報にたどり着けないというケースがあります。これでは、社内にある過去ノウハウを有効活用できません。

3D類似形状検索によるノウハウ活用

では、どうすればノウハウを探し出すことができるのか、そこで注目したのは「形」です。形が似ていれば、その製品に関するノウハウも似た傾向となります。そのため、ノウハウを活用する一つの手段として、3D類似形状検索があげられます。

3D類似形状検索では、設計ノウハウや過去情報を3Dデータと紐づけて管理し、形状をキーに情報を検索できます。それにより、熟練者や経験者ではなくても、過去情報にアクセスすることができます。

検索部品指定→形状データベース 過去の3Dデータの情報蓄積→類似している順に結果表示 データベースに登録した属性情報もあわせて確認

3D類似形状検索によるノウハウ活用事例

ここからは3D類似形状検索によるノウハウ活用の事例を3つご紹介します。

流用設計による設計効率化

A社様では部品設計時に以下の問題を抱えていらっしゃいました。

  1. 過去部品と似ている形状にも関わらず、新規で設計・製造してしまう
  2. 過去部品の検索に時間がかかる
  3. 部品サイズや材質を元に類似部品の2D図面を検索しているが、2D図面では似ているか判断できない

そこで3D類似形状検索を利用し、新規部品設計時に過去部品を検索することができるようになりました。また、形状比較機能で過去部品との差分をチェックすることにより、違いが可視化されます。
年間1,600個も発生する部品の流用が可能となり、製造可否を瞬時に判断できるようになりました。

<過去部品検索>過去部品から流用できるものを検索→<検索結果確認>→<差分比較>検索元形状と重ね合わせ差分を色別表示→<流用設計>差分箇所のみの設計で工数削減!

類似製品の情報検索による不具合の未然防止

B社様では、樹脂成型品開発時の課題対応について以下の問題を抱えていらっしゃいました。

  1. 課題抽出が経験頼りになっており、対応者により差が出てしまう
  2. 過去不具合を検索する工数が膨大で実施できていない
  3. 製造過程で過去に発生した不具合と類似の不具合が発生し、手戻りが発生する

そこで3D類似形状検索を利用し、設計終了後の製品の類似部品を検索することで、それに紐づく過去不具合と対策を確認できるようになりました。DIPROの3D類似形状検索では、形状と社内にある製品ドキュメントを紐づけて管理できるため、検索結果からその製品に関する詳細情報を簡単に確認できます。それにより、前回製造時に発生した不具合対策を織り込んで型作成でき、類似した不具合の未然防止を実現されています。

<過去部品検索>この部品の類似部品で発生した不具合は?→<検索結果確認>→<不具合資料参照>検索結果から形状に紐づく不具合対策資料を開き確認→<不具合未然防止>過去資料を参考にして事前に対策!

過去見積参照による見積精度向上・効率化

C社様では、見積回答において以下のような問題を抱えていらっしゃいました。

  1. 短納期での見積依頼やノウハウ不足により、検討が不足する
  2. 過去見積を参考にしたいが、類似製品を探すのに時間がかかる
  3. 担当者により見積のばらつきがある

形が似ていれば見積結果が似てくるため、3D類似形状検索を利用し、類似形状の過去見積を取得することができます。DIPROの3D類似形状検索では、形状だけでなく形状に紐づく属性情報で絞り込みができるため、参考となる形状をより簡単に探し出すことができます。それにより、見積時の工数削減、見積精度の向上につながります。

<過去部品検索>これに似ている過去製品はいくらで見積もったかな?→<検索結果確認>→<結果絞り込み>特定材質で絞り込みをして見積結果を確認→<見積実施>短期間で精度の良い見積実施!

DIPROの3D類似形状検索

3D類似形状検索の特長

DIPROの3D類似形状検索ツールには、次のような特長があります。

高い検索精度

3D形状から3Dの特徴量を抽出しています。例えば、中空構造などの部品は2D画像に変換した検索では見つけることはできません。DIPROの3D類似形状検索は、外側からは見えない部品内の形状差異を抽出することができ、精度の高い結果を出力できます。

6万部品の検索がたった3秒

6万部品の検索をわずか3秒で行うことができます。内部構造や処理を改善し、超高速検索を実現しています。検索精度とパフォーマンスで、業務のスループットを向上させます。

Web版類似形状検索

DIPROでは3D類似形状検索のツールとして、エンジニアリング支援ツール「Space Vertex」をご提供しています。前述の通り、昨今、ノウハウ活用のための3D類似形状検索のニーズが非常に高くなっています。そのため、より気軽に3D類似形状検索をご利用いただけるよう、3D WebプラットフォームDIPROMEBIUSχに類似形状検索の機能を追加しました。

DIPROMEBIUSχ ProはWebアプリケーションのため、クライアントへの導入作業は不要です。サーバに繋がっていれば、いつでもどこでも様々なデバイスで3D類似形状検索機能が利用可能です。

Windows Android iOS 属性情報 検索結果

最後に

このように、3D類似形状検索を利用することで業務の様々なシーンで過去ノウハウを活用できます。
弊社は、人材不足という製造業の課題に対して、長年培った3Dソフト開発の経験を活かし3Dの観点から解決を図ってまいります。

今度も「Space Vertex」および「DIPROMEBIUSχ」にご期待ください。

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(3D技術ビジネス部 穗積)

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