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DIPROニュース

2017

3月号

2017.03.10

プレス組立工程計画における3D図面活用の取組 ~ユニプレス様 VridgeR 活用事例~

自動車業界においては、3D図面が一般的に流通するようになり、多くのメーカで3D図面の活用が進んでいます。一方で3D図面は、形状を確認する為の単なる3Dデータではなく、その製品の用途、材質、要求される寸法精度、機械的特性等、製品製造に関わる多くの情報を読み取る「製品図面」としての活用が求められています。

ユニプレス株式会社様(以下ユニプレス様)では、2001年より社内外での3D図面流通に取り組まれ、DIPRO VridgeR(以下VridgeR)で3D図面情報を活用する環境 の構築を進めてこられました(本紙2011年9月号参照)。今回、新たな3D図面活用の取り組みである、組立工程計画への VridgeR適用の事例をご紹介します。

ユニプレス株式会社 ユニプレス株式会社
本社

神奈川県横浜市港北区新横浜1-19-20 SUN HAMADA BLDG. 5階

創立

1945年3月1日

代表者

代表取締役 社長執行役員 吉澤 正信

資本金

99億7,297万1,450円(2016年3月31日現在)

事業内容

自動車部品の製造及び販売、電機部品の製造及び販売、金属製品の製造及び販売、

溶接機器・金型及び治工具の製作及び販売、プレス機械検査及び保全業

ユニプレス株式会社HP
本社
本社
製品
製品

Ⅰ.現状業務の課題

車体骨格部品の組立工程計画の業務

車体骨格部品における組立工程計画は、ノウハウの必要な各種検討作業(組立手順、タクトタイム、設備レイアウト、原価)と、検討結果を計画書(製品構成表、組立工程表、溶接方案書)にまとめていく作業が存在し、熟練者の工数を多く必要とするため、ユニプレス様にとっても効率化したい業務の1つでした。

3D図面情報分断の課題

自動車会社から提供される3D図面情報の有効活用を考えると、提供されるCADデータと同じCADソフトの使用が望まれますが、これらはハイエンドCADであるため、全部門に配布するには、費用の負担が大きくなってしまいます。この課題に対してユニプレス様では、ミッドレンジCADを使用していましたが、以下の3つの弊害がありました。

  1. ハイエンドCADで定義された部品属性(板厚、材質)・スポット溶接情報がミッドレンジCADへ渡らない。
  2. モデリングツールであるCADには、検討に必要となる機能が揃っていない。
  3. 最終成果物である計画書を作成するには、個別の検討結果を人手によってまとめる2D図面準備が必要となる。

つまり、3D図面というデータ化された情報が提供されているにも関わらず、下流の3Dツールが必要情報を表現できないことで情報の欠落が生じ、検討結果も個別のデータに分断され、最終成果物を作成するための有効なデータとして活用できないことが発生していました。

結果、人手による検討作業が増加し、検討の抜けもれや重複が発生するなど、効率や品質面において課題が発生していました。

3D図面情報分析の課題

Ⅱ.3D図面情報をデータとして活用

3D図面情報を意味あるデータとして活用

VridgeR活用の1つ目のポイントは、ハイエンドCADで定義した部品情報(部品番号、板厚、材質)はもとより、スポット情報(位置、方向、板組み)を正確に再現できることでした。VridgeRは、板組部品や、部品の板厚・材質を文字情報として参照できるだけでなく、意味あるデータとして活用する機能があります。例えば、スポット関連の機能では、スポットからスポット板組部品を検索できる機能や、板打方向によってスポットを分類する機能などがあります。

このように3D図面情報を抜けもれなく再現できることだけでなく、意味ある情報として関連をもって扱えることがVridgeR採用の理由となりました。

3D図面情報を意味あるデータとして活用

組順検討に必要な機能

2つ目のポイントとして、組順検討に必要な機能が揃っていることが挙げられます。組順検討には、VridgeRの工程検討機能を活用しました。工程検討機能では、組順の検討が行えるほか、未検討の部品のみを表示するなど、3Dデータを元に工程検討の抜け漏れを防ぐ機能が備わっています。また、工程検討機能は、各工程に必要な設備やスポット打順など検討結果を工程属性として入力でき、さらに、各工程で必要なナットやスポットの数も集計ができます。このように、検討作業を1つの3Dツールで行うことができるため、検討効率・検討精度を向上させることができます。

組順検討に必要な機能

帳票出力の自動化

3D図面情報が揃っており、熟練者が行わなければならない検討作業が終了していれば、帳票出力作業は、システムにより自動化が可能です。ユニプレス様では、VridgeRにより準備された3D図面情報と検討結果に加え、溶接条件等をExcelでデータ化することで帳票出力の自動化を実現しました。

また、帳票については、Excelに埋め込み可能な無償のVridgeR ACTを利用することで、3D帳票にすることができ、Excel上で打順の変更を行うなど調整を容易に行えるようになりました。

帳票出力の自動化

Ⅲ.今後に向けて

3D図面の徹底活用を支援

3D図面の徹底活用を支援
向かって左から 生産技術開発センター
工程企画グループ 坂巻様、池田様

ユニプレス様では、組立工程計画の品質向上・工数削減、納期短縮に向け、3D図面の活用に取り組まれてきました。これに対して、VridgeRは、

  1. 3D図面に埋め込まれた部品情報やスポット打点情報を読み解き、関連付ける
  2. ユーザー視点で、組順検討に必要な機能の準備

をすることで、組立工程検討業務への3D図面の活用を実現しました。

VridgeRは、3D図面徹底活用をコンセプトに、ユニプレス様のモノづくりを真に支援する3Dツールへと、さらに強化してまいります。

DIPRO VridgeR の詳細はこちら

(第二技術ソリューション部 課長SE 濱)

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