より高度に複雑に変化を続ける製品、そしてデジタル製品情報の利活用を拡張する最新テクノロジは、製品開発プロセスに変革をもたらします。
エンジニアリング領域は企業DXの起点であり、新たなエンジニアリングDXとして進化しつづけていく必要があります。
フルデジタル化の追求と拡張、そして新技術活用への取り組みがそのキーとなります。
フルデジタルエンジニアリング化した製品開発プロセスでは、デジタル製品情報モデルを基本要素とします。
デジタル製品情報モデルとは、製品を表現した情報(3DモデルやBOM等) を含むデジタルマスターデータです。開発、生産、保守、運用で再利用が可能なデータであり、製品ライフサイクル全体で利用されます。
この製品開発プロセスの実現は、段階的な発展を成します。実現に向けた一つのマイルストーンは、公式な製品情報として2D図面から再利用可能な製品情報モデル(3Dモデル)への切り替えです。単に2D図面から3Dモデルへ置き換えるのでなく、製品情報モデルの定義、承認のための出図プロセスや後工程での利用を含めた移行が必要です。 そこでは、製品情報を高精度で再利用可能なデジタルモデルで表現し、ライフサイクルを通じてデータとプロセスを管理することが基本となります。
デジタルスレッドとは、製品開発プロセスでのデジタル成果物のつながりと、それらを参照・利用可能にする仕組みを指します。各部門は、他部門からのデジタル成果物を取り入れて、製造情報等など新たな製品情報を付加していきます。これにより、製品開発プロセス全体を通じて、相互に関係づけられたデジタル成果物のつながりが構築されます。
デジタルスレッドの多くは、製品設計から始まります。製品設計では、製品情報モデルとして、形状と非形状情報(注釈、公差、表面仕上げなど)を定義します。 ツール設計/製造、品質検査、保守サービスなど、様々な部門がこのモデルデータを利用し業務を進めることができます。
デジタルツインは、デジタル製品情報に関する資産データです。製品開発プロセスの各工程の活動結果として生成されます。物理ツイン(製品の現物や設備等)とセットとなり、デジタル上での検証やシミュレーションから物理ツインへのフィードバックを可能とします。設計検討における検証や、生産準備でのシミュレーション等において使用されます。
デジタルツインは一つではなく、 目的に応じた複数のデジタルツインがあり、それぞれに固有の特性を持ちます。 データ分析用デジタルツイン、シミュレーション用デジタルツイン、生産技術用デジタルツインなどです。
製品の新規システムコンセプトの試作前性能予測、設計フェーズにおけるメカ・エレキの設計パラメータ変更による性能最適化(1D CAE)、制御ソフト開発やその制御定数の机上適合により、部品・システムの試作、並びに実機試験の大幅な削減と、開発期間短縮に貢献します。また、自動化、知能化、電動化が進んだ複雑な製品開発では、モデル、シミュレーション結果、ソースコードなどの開発データを管理して 複数分野間での開発を手戻りなく行うことに貢献します。
MBDを実現するため、モデル構築技術やMBD環境整備のエンジニアリングサービスをご支援致します。また、製品開発に活用したモデル・シミュレーション結果・実機試験結果、ソフトウェア等のデジタルデータを繋げて管理することで、さらに開発効率を高めます。加えて、これから電動化に取り組むお客様向けの教育やコンサルテーションにより、スムーズな業務の立上げをご支援いたします。
品質要求と顧客のニーズを満たすため、製品の検証および妥当性の確認プロセスは、製品開発において重要な役割となります。製品がますます高度化し、複数分野にわたる開発になるにつれ、様々な多くの物理的な試作は難しくなり、コスト負担も非常に重くなります。 デジタルモデルに基づく仮想検証、シミュレーションは、デジタル上で検証・妥当性確認を可能とします。
機構や制御情報を含む動的な製品モデルへの表現拡張により、挙動シミュレーション等のより高度化な解析・シミュレーションが可能となります。
複雑な構成を持つ製品に対して、デジタルスレッドやデジタルツインを実現するには、製品に関する一連の構成・構造の作成、管理が必要です。
xBOMとは、製品開発プロセスの各フェーズで目的別に用いられる部品表(eBOM,mBOM等)の総称です。製品開発プロセス全体で、製品の構成組合せを維持しながら、用途目的に応じた一連の構成・構造を作成し、管理します。
xBOMは、ほとんどのモノづくり企業、特に次世代製品を開発・生産する企業において、エンジニアリングDXを成功させるために必要な要件です。従来からのeBOMとmBOM連携をベースに、周辺システムを含めたライフサイクル全体を通したデータ連携が必要となります。
現場や現物からのデータを分析・解析することで、製品開発プロセスで発生する事象や現象に対する深い洞察や気づきを得ることができます。製品開発のエンジニアリング活動は、製品情報や生産情報を決めていくための仮説検証や問題解決の繰り返しです。現象の見える化と予測は、これら活動を支援することで品質や生産性の向上に貢献します。
データサイエンスは、データをもとに現象の視覚化、モデル化による予測を可能とし、製品開発プロセスでの検証や問題解決の手段となります。
また、ドキュメントや不具合情報等の関係性を目に見える形に表現することで、新たな気づきや洞察、成果物のナレッジ資産化を促進します。
AR(拡張現実)は、デジタル世界と物理世界との橋渡しを担い、リアル-デジタル融合空間でのコミュニケーション・作業を可能とします。
ARは、製品開発プロセスに関わる様々な組織に影響を及ぼし、各工程での人材育成、意志決定、現場・現物との相互作業を変革します。
ARは、デジタルのデータやイメージを物理世界に重ね合わせる技術群です。現物と比較対象となるデータを重ね合わせることで、作業者は作業を中断せずに、違いの識別や判断ができるようになります。 また、VR(仮想現実)と組合せることで、距離・時間・規模を超越したコミュニケーション・作業空間を生み出します。