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DIPROニュース

2019

10月号

2019.10.10

迪普勒(北京)信息技术有限公司(DPC)の中国日系お客様向けソリューション&サービスのご紹介

近年の中国ものづくり市場は驚異的なスピードで変革が続いており、特に自動車産業に於いては自動運転やEV関連の技術的な進歩に加え、自動車を取り巻くビジネスモデルも、製造・販売から、利用(シェアー)へと、大きく変わろうとしています。 日系企業の皆様は、このようなビジネス環境の中に於いても、市場をリードすべく、日々戦っておられることと思います。 

最先端の仕事に携わる一方で、日本とは考え方や文化の異なる中国社会(海外)の中で働いていると、いくつかのギャップを耳にすることがあります。例えば、日本では作業の標準化・見える化が推奨され、誰でも一定の成果を上げられることが望まれますが、中国社会では、髙度な個人の能力が歓迎される傾向があります。勿論どちらにも強みはあるのですが、結果として個人に依存した領域が出来てしまい、その人が退職した途端に情報が拾い難くなるケースがあります。また別の例では、海外の特徴として離職率が高いことが挙げられます。せっかく高価なソフトを導入して教育しても、人が変わるとまた初めから教育し直さなければならないといったケースも海外では良く聞きます。更には、日本と中国の間で、同じ品質基準や規格でも、言葉や定義などの違いなどから、誤認識を招き、品質トラブルの原因にまで発展するリスクも考えられます。これらの課題は中国に限ったことではありませんが、仕事の本質以外の所で、気を使わなければならないケースが多々あると感じています。

DIPRO中国(DPC)では、中国の日系企業様に、PLM系のPKGソリューションや、BOM・PDMをベースにしたテンプレート型業務システム、更には各種SIやコンサルサービスなども提供していますが、海外ならではの課題に対応すべく、作業プロセスの見える化や成果物管理を目的にした簡易プロジェクト管理システムや、オペレーションに特化した安価な出張教育サービス、更に今後は、皆様の要望に応じて、工場ライン設計や生産量シミュレーションなどを「受託型」で行う等、中国の諸事情にマッチしたサービスを提供していきたいと考えています。

本編ではこういった取組みを交えて、DPCが中国で日系企業の皆様に提供するソリューションやサービスを紹介していきます。

DPCが提供するソリューションの対象業務

DPCでは「図1」で示す業務領域で、サプライヤー様を含む自動車産業、商用車、機械産業、エネルギー関連のお客様向けに、DPC商品(中国生まれ)、DIPRO商品、SIEMENS社商品、Aras社商品を中心に、ソリューションサービスを展開しています。ソリューションの種類としては、PKGソフト販売と教育サービス、テンプレート型の業務システムソリューションの適用コンサルと構築サービスと保守サービス、更には業務コンサルや日本とのシステム連携支援やSIといった内容をカバーしています。また今後は、お客様の要望に応じて、GP4のモデリングサービスやSIEMENS TECNOMATIX Plant Simulation(以降Plant Simulationと略す)の演算式の設定サービスなども手掛けていきたいと考えています。

このようなソリューションやサービスを提供する人材として、DPCでは日本の大学を卒業、或いは、日本企業での勤務経験のある優秀なSEを揃えています。また、本年よりDIPROトレーニー制度を導入し、DPCの若手社員が日本のプロジェクトに参画しOJTを積みながら、技術のみならず日本式のサービスやコミュニケーションを学び、中国でも日本レベルの行き届いたサービスを、お客様に提供することを目指しています。 

図1 DPCが取り組む主な対象業務(スコープ)

設計領域のソリューション

設計領域においては、SIEMENS社のNXとiCAD社のiCAD SXの2つのCADと、設計領域のDMUとして日本でもおなじみのDIPRO VridgeRを提供しています。

この領域での日系企業様にとっての悩みは、iCADやDIPRO VridgeRといったツールは、日本との設計情報の共有には欠かせませんが、中国人の設計者はこれらの日本製ツールを知りません。日本に行って教育を受けると高額な費用も掛かるし言葉の問題もある。またせっかく苦労して教えても転職してしまうなど、「本業以外の所で苦労する」 といった声を良く聞きます。そこでDPCでは、これらのツールの「操作」に特化した安価な簡易教育を、お客様先で実施するサービスを提供しています。これらのサービスは、商品によって若干異なりますが、基本機能(1日)と、オプション機能(半日から1日)程度で、「明日から使える実践スキル習得」を目標に、実習形式で行っています。講師は全員中国人SEですが、日本語も堪能なので、日本人のマネージャー様からのご要望や質問にも直接お応えしています。

図2 DIPRO VridgeRの教育体系
図3 DIPRO VridgeRの教育案内

教育以降のQ/A対応も、基本的には教育を担当した講師が行うので、サポート担当者もお客様の環境について細かく聞く必要もなくなり、作業効率も上がります。また何よりお客様にとって、我々サポート要員と教育の場で直接会っているので、「質問し易い!」といった、我々にとっても嬉しい声を頂いています。

生産技術・生産準備領域のソリューション

生産技術・生産準備領域においては、組立シミュレーションが得意なVPS、3Dの工場ラインモデルで人の動線や作業負荷をデジタルに検証・最適化支援を行うGP4、工場ラインのバッファサイズと生産数の最適化やロットサイズの検討を強力に支援するSIEMENS社のPlant Simulation、更には実物大(VR)でのパーツの組み付けや、取り外し検証が可能なDIPRO Xphereを提供しています。これらのツールを組み合わせて使うことにより、安価に且つ短期間で、「工場まるごとDX」を実現することが出来ます。

この領域での日系企業様にとっての悩みは、設計領域と同じく日本製ツールの使い方が分からないといったことに加えて、GP4やPlant Simulationは便利なデジタルシミュレーションツールではありますが、環境設定や条件設定が必要で、それには一定のスキルと工数を必要とします。そこでDPCでは、GP4のモデリングやPlant Simulationの設定作業を代行させていただくサービスを検討しています。この様な悩みをお持ちのお客様は、是非DPCまで一報いただきたいと思います。

図4 生産技術・生産準備領域のソリューションマップ

BOM関連領域のソリューション

BOM関連領域では、テンプレート型の業務システムソリューションとして、中国生まれのE/M‐BOMをカバーするD-plus/BOM(仮称)と、仕様管理の部分を独立させたD-plus/EntryM(仮称)、また、産業機械に多い「繰り返し受注生産」向けにArasマシナリープラットフォームを提供しています。SIツールとしてはAras Innovatorを活用しています。

この領域での日系企業様にとっての悩みは、限られた予算の中でいかに効率よく、且つ現地のニーズを反映したシステムを構築するか。また、日本側のシステムといかに連携するかだと思います。この様な課題に対応すべく、DPCでは過去の大小さまざまな事例を活かして、BOMを基軸としたコンサルサービスを提供しています。日本語も堪能で経験豊富な中国人コンサルタントが、日本人マネージャー様や、中国人リーダ様とのコミュニケーションを通して、最善の施策を提案させていただきます。

更に設計から生産準備、調達と連携する中で発生する、様々な成果物の管理と、日々の進捗管理は、継続的な事業の成長と効率化に不可欠です。そこで、優秀な社員が退職した途端に仕事がうまく回らなくなる、といった課題に対応すべく、DPCではお客様の業務に合わせて、開発レスで簡単に設定のみで構築できるプロジェクト管理テンプレート(Aras)も用意しています。

図5 BOM領域のソリューションマップ

業務系ソリューション

業務系の領域に於いては、自動車分野における機能安全規格ISO26262(中国GB/T34590)に準拠したエビデンスの管理やトレーサビリティの自動生成を支援する富士通のPLEMIA SQ-Tracer、また、自動車産業の品質マネージメント規格IATF16949に沿って工程毎にAPQPの品質計画に関する情報(成果物)を管理するArasテンプレートを提供しています。

この領域での日系企業様にとっての悩みは、例えば、同じ自動車分野に於ける機能安全規格でも、日本と中国では規格名が異なるので、何が同じで、何が異なるのかが分かりにくいという点です。DPCでは、PLEMIA SQ-Tracerの販売代理店としてソリューションを提供するだけでなく、双方の規格に精通したパートナー会社(FNST)と連携して、お客様の疑問に正確に応えます。

また、原価企画/管理については、現在テンプレートシステムを計画中です。

図6 業務系ソリューションマップ

まとめ

設計領域から生産技術・生産準備領域、BOM関連領域、更には業務系に至るDPCが提供するソリューションを紹介してきましたが、DPCの強みは、「人財」であると確信しております。中国で活躍される日系企業のお客様の立場に立って、競争力のある強いソリューションと、有益なサービスを組み合わせて提供し、皆さまから信頼される集団になりたいと考えております。

今回は日系企業のお客様の視点から、ソリューションを紹介してきましたが、DPCでは中国のお客様に対してもソリューションやサービスを提供し、その品質や競争力を磨いています。例えばD-plusシリーズはDPCが企画/開発した中国生まれのソリューションです。中国市場はもとより、日本市場への販売も始めています。更には、今回生産技術・生産準備領域のソリューションの中で紹介した、「GP4のモデリング受託サービス」や「Plant Simulationの設定受託サービス」などについては、ご要望があれば、日本のお客様にも提供していきたいと考えています。もちろん日本式の「気配り」を忘れずに。

今後、DPCの各種ソリューションやサービスは、中国という市場に限定せず、DIPRO日本の営業とも連携を密に、日本市場に対しても、様々な情報発信を続けていきたいと考えています。日本の皆様にも直接お役に立てる日を楽しみにしています。DIPROともどもDPCも、どうぞ宜しくお願い致します。

(迪普勒(北京)信息技术有限公司 総経理 吉田)

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