先月号ではASEAN地域のお客様支援に向けたASEAN-PLMセンターをご紹介しました。今回はサービスサポート業務のオフショア活用についてご紹介させていただきます。
中国やインドを活用したソフト開発や事務系システムのサポート業務は一般的となっていますが、最近では、エンジニアリング系システムでのサービス業務領域においてもオフショア活用のご要望が強くなっています。
そういったお客様のニーズに対応するため、弊社は昨年度よりサポート業務の一部をベトナムで行う取り組みをスタートさせています。
昨年度初頭より、弊社はオフショア拠点としてアジア各国について種々の観点から調査してきました。
地理的条件、コスト水準、日系企業の進出度、さらには現地企業に対するビジネス展開の可能性と、サポートサービスという業務特性を考慮した結果、まずベトナムを拠点とした基盤整備に着手することとしました。
また、ベトナム(ハノイ市)には、弊社の重要なお客様が現地法人を設立されていること、同時に富士通グループの拠点もあることなどから、早期立ち上げや今後のビジネスの発展に好都合であることも、大きな要因となっています。
ポストBRICsといわれるVISTAの先頭文字“V”が、今もっとも熱い国の一つベトナムです。
ベトナムのGDP成長率はここ数年7%超えを維持しており、今年1月には150ヶ国目のWTO加盟国となったことで、海外からの投資熱が一層高まっています。一方、一人当たりGDPが10年前の中国と同程度であるということは、ある意味でベトナムの今後のポテンシャルを物語っているといえます。
ことにハノイ市は昨年のAPEC開催を機に、ビルの建設ラッシュとともに至る所で道路整備が行われており、目覚ましい成長を感じさせられます。
しかし一方では道路に下水が溢れ、市民マラソンランナーのごとく行き交うバイクの排気ガスは目や喉に沁みるほどです。ホーチミン市には及ばずとも、現在のハノイ市には急速な発展にインフラ整備が追いつかない、数十年前の日本、数年前の中国と同様の感があります。
早期立ち上げの必要性から、従来よりお客様支援を協同で行ってきた富士通ベトナムと協業し、現地での業務開始に向けて、具体的な準備を行ってきました。
富士通ベトナムは、すでにソフト開発のオフショアでは実績を積んできたために、弊社のオフショアプロジェクトに対しても積極的に対応いただき、友好な協力関係を確立しています。
サポート業務のオフショアは開発業務に比べて、より多く日本とのコミュニケーションが要求されます。そのため現地での業務担当者については、日本語に重点を置いた人選を行い、技術面では日本からの手厚い教育により育成を図る、という考え方で進めています。
昨年12月より第一歩として、ベトナム現地に小規模な体制を整え、現地要員へのCAD操作教育の実施や、作業進捗把握の仕組みづくりなど、本格的なオフショア業務を実施していく上での基盤整備に取り組んでいます。
今年度からは、現地によるCADのバージョンアップ関連業務の実務展開にトライしていきます。
さらにそれと並行して、現地要員にサポート実務を習得してもらうために、日本への長期受け入れ研修を開始したところです。
今後オフショア業務を実施していく上での重要課題は、やはり要員の確保です。
これらの課題を一つ一つ克服していくためには、ベトナムとの密なコミュニケーションと継続的な支援が重要です。
国民性・地域性ではなく、結局は“人と人”、彼らと直接話し状況を把握すること、加えてお互いが常に一緒に仕事をしているという感覚を持つことが非常に重要であると感じています。
この4月に最初の現地要員を受け入れました。日本の桜を楽しみにしていた彼女が日本語の説明に頷くのを見ながら、日本語で話しかける努力を惜しまないベトナムの人達に負けない向上心と、改善努力を自分自身も持ち続けなければならないと強く感じています。
お客様へのサービスサポートという点では、まだまだこれからの“ハノイ拠点”ではありますが、“ベトナム+DIPRO”の切磋琢磨パワーでお客様をご支援させていただけるよう取り組んでいきます。
(エンジニアリングサービス部 藤原 智子)
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