製造に関わるお客様にとって、「標準化」は永年取り組まれてきたテーマです。
ただ、昨今製造業における品質保証の問題が顕在化しており、その対応策としてISOをはじめとする世界標準への準拠は製造プロセスの品質保証として重要度を増しています。
近年、工具メーカー業界では世界標準(ISO13399)の切削工具をデジタルカタログとして工具ユーザーに提供する動きが始まっています。
従来の切削工具は、工具メーカー独自の表現で寸法や属性が示されていました。その為、工具を使う側である工具ユーザーではメーカー毎に異なる表記を確認した上で管理・活用することが必要でした。
TeamcenterではISO13399に対応したManufacturing Resource Library機能で加工業務におけるISO工具活用を強力にバックアップします。
Manufacturing Resource Library (以下、MRL)は、生技領域で取り扱うデータ(治具・加工機・工場データなど)を階層化されたライブラリに分類管理し、活用する機能です。(図1)
ユーザー自身で業務に合わせた分類先の階層を追加することも可能です。
また、ISO13399準拠の工具カタログを読み込むことができるのも大きな特徴です。ここでは、MRL活用の一つとして工具にフォーカスしてご紹介します。
では、ISO13399とは何でしょうか?
ISOによると、【Cutting tool data representation and exchange】とあります。
ISO13399では切削工具(ドリルやエンドミルの他、アダプタやインサートも含む)寸法・属性・座標系といったパラメータが規格化されており、これに準拠した工具情報はメーカーを問わず標準化されたものになります。
MRLを活用することで、ISO13399準拠の工具カタログを取込み、機械加工業務で利用することができます。次項から、具体的な活用手順をご説明します。
各工具メーカーから提供されるISO準拠の工具カタログをTeamcenter環境の所定フォルダに格納することにより、ライブラリへのインポートが可能になります。 (工具カタログについては、各工具メーカーにお問い合わせください)
工具カタログには種類に応じたライブラリ階層、工具情報(寸法、属性、3Dデータ)が含まれています。(図2)
ISO工具を使う工具ユーザーはツールやホルダを組み合わせたセットアップとして準備し、各々の加工工程で干渉チェックなどの検討を行います。
この時、選択したツールと組み合わせることができるホルダはどれか、膨大な数の中から見つけ出す必要があります。 MRLでは属性を利用してアセンブリ可能なものを自動でピックアップします。更に、アセンブリ位置や向きも正確に組み付けます。(図3)
セットアップした工具をライブラリに登録しておくことにより、NX-CAMではライブラリからダイレクトに取得することができます。(図4)
ここまでご説明した内容をまとめると、MRL活用のメリットとして以下が挙げられます。
ISO工具を加工業務に取り入れることで検討する工具セットアップの品質が保証され、しかも業務効率化にも繋がります。
あるお客様はMRLを導入する理由の一つとして、
【ISO準拠の工具を使用して自社製品を製作することで自社製品への顧客信頼度が上がる】
ということを挙げられています。
Teamcenterに取り込んだISO工具は、Teamcenter Part Plannerを利用することで加工工程に簡易に紐付けすることができます。
Part PlannerはTeamcenterのアプリケーションの一つで、機械加工工程の検討を行います。加工工程に加工物・加工機・切削工具・治具・NCデータなどの情報を紐付け、CAMと共有することができ加工検証が効率的に行えます。(図5)
弊社ではMRL、PartPlanner、NX-CAMを組み合わせたシステム適用と業務適用の両アプローチからご支援のご提供をしております。
弊社では今回ご紹介したMRLでのISO工具活用の他、加工・組立て・検査など多くの生産準備向けソリューションをご用意しており、お客様業務の効率化や標準化をご支援させていただいています。お困りごとなどございましたら、お気軽にお問合せください。
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