日本特殊陶業 生産技術カンパニー 生技開発部様では、生産設備の設計段階において、関連部署とXphereを活用したVR検証を行い、設備の完成後の手戻りを削減する取り組みを推進されている。
本事例では、日本特殊陶業様の設備開発におけるXphere活用の取り組み事例を生産技術カンパニー 生技開発部 設備技術課 板津様にご紹介頂く。
従来の設備開発では、設備が出来上がった後に、指摘による手戻りが多くあり、再設計に伴う製作・購入・組立・調整など、計画時に比べ、費用や期間が増加していた。チェックリストや設計審査会の強化、またレベルの高い技術者の増員などの対策も行ったが、大きな効果は得られない状況であった。
そこで、設備が出来上がる前に、依頼元や製造現場の方に、どのような設備になるのか理解を深めてもらうため、3Dモデルを基盤として各種シミュレーションを活用し、設備製作前に完成度を向上させる取り組みをしている。その主要ソリューションとしてVPS MFG、GP4に加え、Xphereをご導入致した。
VRを設備設計に活用することで、設備をVR空間にリアルスケールで再現し、直感的にサイズ感や奥行き、機器の配置などの検証が行える。Xphereでは部品の脱着や干渉確認、空間内での寸法測定も可能であり、機器調整時の姿勢確認、安全確認や教育ツールとして利用している。また、Xphereは弊社が使用しているCADシステムのiCAD SXデータをダイレクトに取り込めるほか、取引先でお使いの3D-CADデータも取り込めるため、社内だけでなく取引先のデータも取込み、レビューで活用している。
取引先が設計したデータをWEB会議で繋ぎながら、 Xphereで検証している事例。製品投入口から製品を投入時に、カバーフレームが邪魔で製品の状態が見えにくいという問題を発見。Xphereでカバーフレームをつかんで移動させ、製品の見え方を確認し、どれだけ移動させたのか寸法測定し、それを設計にフィードバックできた。設備完成後の再設計やフレームの再購入、カバーの再製作が不要となり無駄な費用と時間の発生を抑えることができた。
ステップを用いて行う作業の姿勢や安全性の確認を行っている事例。関連部署との設計審査会にXphereを使うことで、ステップ最上段のスペースが狭く、製品をもって振り向いた際に転倒の恐れがあることを発見。最上段のスペースを広くする対策を実施した。VR空間内にリアルスケールで立ってみたからこそ、ステップの高さや奥行きを危険と判断することができた。
VPS GP4で検討した工場データをXphereのVR空間に再現し、工場内に配置した設備や物の動きを実機に近い感覚でご確認している。
例えば、
このようにバーチャルな工場に入り込み検討することで、工場レイアウトの検討精度の向上を図っている。
VPS MFGで検討した組立順をXphereで再現、部品の配置などをより詳しく確認、内部構造の断面を確認するなどして、初めて設備の組み立てを行う人への教育ツールとしての活用を始めている。
誰でも手軽にXphereをご利用いただけるように、VR機材を台車にまとめ移動して使えるような工夫や、運用ルールや説明書を準備。可搬性や利便性を向上させることで、更に社内の活用促進を進めている。
今回VRを適用した設備は、まだ製造されていないため、以前に開発した設備の指摘事項から、VR検証することで発見できた項目を抽出し、効果を算出した。結果は、実際に挙げられた指摘事項のうち、メカ42%、電気14%程度がVRにより検出可能な項目であり、それを設計段階で対策していれば、2.5ヶ月の修正が0.5ヶ月に短縮され、約2カ月の効果と予想している。
特に新規設備では指摘事項が多く、設計時にVR検証を行うことで設計段階での完成度が高まり、設備の品質向上や短期立上げに効果があると見込んでいる。
今後は様々なフェーズにおいてデジタルを活用し、製品や設備の完成度を向上できるように取り組んでいきたと考えている。
会社名 |
日本特殊陶業株式会社 |
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本社所在地 |
名古屋市瑞穂区高辻町14-18 |
設立 |
1936年(昭和11年)10月26日 |
代表者 |
代表取締役会長 尾堂真一 |
資本金 |
478億6,900万円 |
売上高 |
連結 4,275億円460万円 (2021年度) |
主な事業 |
主に、スパークプラグや内燃機関用関連品、ニューセラミックとその応用商品など、 セラミックス製品の製造・販売 |
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