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受託解析

解析事例

燃料タンクのスロッシング解析

概要

燃料タンクのスロッシング解析

車両発進時や減速時にタンク内燃料のスロッシングが発生します。近年、高級車の要件や車両の電動化により、このスロッシャー音(チャポチャポ音)の評価が厳しくなり、タンク内の構造により音の発生を抑制する性能が求められるようになっています。

課題

燃料の積載量によりスロッシャー音の発生が変わることなどは実験的にわかっていました。また、タンク内に仕切り板(バッフル)を入れると音が小さくなることも経験上わかっていました。しかし、仕切り板を入れたりすると部品点数が増えたり、強度や耐久性能にも影響を及ぼすため、できれば燃料タンクの外形状で音の出にくい構造にする必要がありました。

解析モデル化

スロッシャー音は燃料が壁面を叩く音と、燃料の流体同士が混ざる際に発生する音などが考えられます。今回の解析は有限体積法という手法で用いてタンク内の燃料と空気層をモデル化し、流体がタンク壁面当たった際に発生する圧力で評価する検討をします。

解析モデル化

加振条件と結果

今回の例では1秒で15Hz単調増加する正弦波(スイープ加振をイメージ)でタンク全体を加振して、壁面にかかる圧力の応答を評価します。

入力に対する応答
入力に対する応答
応答の周波数分析(エクセルを使用)
応答の周波数分析

解析結果のグラフを見ると、極低い周波数の入力に対して大きな応答が得られていることがわかります。低い周期で慣性力が発生した場合に、燃料が大きく塊となって移動して壁面を叩く圧力が発生するという結果になりました。

燃料の動き

時系列での燃料の動きは以下になります。

実際の走行時、減速時のモードはX加振(車両前後方向)が近く、燃料がまわりこんでタンク上面に当たることで、圧力が高くなることがわかりました。

この結果を受けて、燃料タンクの外形状を検討し燃料の動きをある程度コントロールすることで、壁面の圧力を軽減することができました。

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