DIPROニュース
製造業向けハイ・レスポンスVRソフト「Xphere(クロスフィア)」の新バージョン V1.11を、2026年10月にリリースします。本バージョンでは、干渉チェック、部品の組付け操作、iCAD・VPSデータ連携、点群表示、対応デバイスの5つの機能を強化しました。
製品設計や生産準備の現場では、3Dデータを活用した事前検証の重要性が高まっています。実機を製作する前に、組立性や保守性の検証、設備レイアウトの検討、作業スペースの確認ができるVRは、関係者間の認識合わせや手戻り削減に有効な手段として活用が広がっています。
一方で、レビュー対象となるデータの大規模化や、工場内をスキャンした点群データの活用、企業ごとのセキュリティ要件への対応など、VRを継続的に活用するうえでは、処理性能の向上や運用環境への柔軟な対応が求められています。V1.11では、干渉確認、組付け操作、データ連携、点群表示、対応デバイスの各機能を改善しました。
以下の表では、V1.11の主な改善ポイントを、利用シーンごとにまとめています。
| 分類 | 主な改善ポイント |
|---|---|
| 設計 |
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| 生産準備・組立 |
|
| 生産技術 |
|
| VR運用 |
|
Xphereでは、VR空間内で部品や治具、設備などを動かしながら干渉を確認できます。干渉が発生した場合には、対象物の動きが止まり、コントローラの振動によって利用者に知らせることで、直感的に衝突を把握できます。
今回のバージョンアップでは、干渉した箇所にマークを表示できるようになりました。従来は、干渉が発生した際に「どの部品のどの部分が当たっているのか」をすぐに把握しにくいケースがありましたが、マーク表示により干渉部位を視覚的に特定しやすくなりました。
これにより、レビュー中の参加者同士で問題箇所を共有しやすくなり、検証結果を後から振り返る際にも指摘内容を確認しやすくなります。言葉だけでは伝わりにくかった干渉箇所を明確に示せるため、設計変更や関係者へのフィードバックをスムーズに進めることができます。
さらに、干渉チェック処理の高速化にも対応しました。従来と比較して処理速度を改善し、検証条件によっては7~9割程度の性能向上が見込めます。これにより、大規模モデルでもより快適に干渉確認を行いやすくなりました。
VR空間上では、部品の脱着が行えます。部品を手に持ち、おおよその正しい向きで組み付ける場所に近づけると、自動で調整して元の位置に収まる動きをします。一方、ねじや円筒形状、左右対称形状などの部品は、向きがわかりづらいため、確認しながら組付けたい場合があります。また、大きな部品を移動する場合も、全体が視界に入りきらないため、向きがわかりづらいという課題がありました。

そこで、今回のバージョンアップでは、部品を持った際に3軸や矢印によるガイドを表示できるようになりました。ガイドによって、部品の向きや移動方向を視覚的に確認できます。これにより、部品や設備を正しい位置へ戻しやすくなり、組付け作業やレイアウト検証をよりスムーズに進めることができます。
iCADデータやVPSデータは、設計・生産準備のさまざまな場面で利用されています。こうした既存データをVRレビューでも活用することで、3D形状だけでなく、属性情報や工程情報を確認しながらレビューを進めやすくなります。
VPS MFG製造フローに付与された作業行や拡張列に追加した作業情報を、VR空間上でも確認できるようになりました。これにより、3Dモデルを見ながら作業内容や組順を確認でき、組立作業のレビューをより具体的に進めることができます。加えて、Xphereデータを編集できるVridgeRを活用することで、組順や関連情報を編集しながら、より多くのVR空間上でシームレスに情報を確認しながらレビューを進めることも可能です。
iCADデータの取り込み方法を見直すことで、データ構造によって発生していた表示レスポンスへの影響を軽減しました。より快適にVR空間で確認できるようになり、設計段階からレビューに活用しやすくなります。
工場や設備の現地環境を再現する手段として、点群データの活用が進んでいます。3DスキャナやiPhoneなどで取得した3DスキャンデータをVR空間に取り込むことで、既存設備との位置関係や搬入経路、工事範囲、設置後の作業スペースなどを事前に確認できます。
Xphereも、E57、LAS、FBX形式などのスキャンデータを取り込み、VR空間に表示できます。しかし、点群データは測定範囲や点数によって容量が大きくなりやすく、数GB規模のデータでは一般的なビューアで確認する場合でも表示が重く、取り扱いに時間がかかることがあります。
今回のバージョンアップでは、点群表示の処理を改善し、描画速度が約2倍になりました。大量の点群データでも視点移動や確認作業の追従性が高まり、工場レイアウト検討やデジタルツイン用途で活用しやすくなります。
これにより、新規設備の導入前に、既存設備や柱、通路、天井高さなどを含めた周辺環境を確認しながら、設置後の干渉や作業性の課題を事前に把握しやすくなります。また、お客様を含めた関係者が同じ空間を見ながら議論できるため、現地確認や説明資料だけでは伝わりにくい内容も共有しやすくなります。
Xphereではこれまで、Meta Questシリーズ、有線タイプのVIVE、Valve Indexに対応してきました。今後は、新たにVIVE Focus Visionへの対応も予定しています。(2026年冬対応予定)

企業でVRを導入する際には、インターネット接続やセキュリティポリシー、設置環境、ケーブルの取り回しなどが課題になることがあります。VIVE Focus Visionへの対応により、オフラインでの運用や無線での利用なども可能となり、Meta製品に加え、お客様の環境に合わせて、新たに選択いただけるようになります。
また、VIVE Focus Visionはゴーグルに搭載されたカメラを用いて周囲の状況を確認できるパススルー機能にも対応予定です。VR空間での検証中でも周囲の人や設備を確認しやすくなり、安全性やコミュニケーション面での活用が期待できます。
Xphere V1.11では、VR空間での検証をより見やすく、扱いやすく、共有しやすくするための改善を行いました。干渉箇所の見える化、点群表示の高速化、対応デバイスの拡大、データ連携の強化により、設計・生産準備におけるレビュー業務の効率化を支援します。
私たちは、モノづくりに関わる皆様が3Dデータをより実践的に活用し、関係者間で活発に議論しながら、手戻り削減と設計品質向上につなげられる環境づくりを目指しています。今後もお客様の声を取り入れながら、より使いやすいVRレビュー環境の実現に向けて改善を続けてまいります。
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