ステップATやCVTなどのトランスミッションには動力伝達のON/OFFや変速するためにクラッチがあります。
多くのクラッチ締結/解放は油圧で制御されています。
ここでは、指示圧に対する実圧の応答性を1D-CAEで検討した例を紹介します。
クラッチ締結時のショックを低減するため、クラッチの締結/解放を制御している油圧の応答性能(指令に対する実際に出力される油圧の応答性)を予測したい。
油圧の応答性に影響する要因の1つとして油圧室の体積変化があります。油圧室の体積はリターンスプリングやクラッチの剛性はもちろん、油圧を受けるピストン自体の剛性によって変化します。
ピストン剛性は3D-CAEで計算し、その結果から得られた特性値を1D-CAEの油圧システムモデルに組み込み、ピストン剛性が変化したときの油圧応答への影響を確認することにしました。
ステップの指示を与えたときの実圧の応答性は、ピストン剛性が高い仕様(MAX仕様)が最も良いが、オーバーシュート(実圧が指示圧を超える現象)が発生することがわかりました。
1D-CAEでは開発初期段階から活用できる動的な数理モデルの構築により、システム性能をパラメータスタディによるトレードオフ検証ができ、設計品質向上と手戻りを削減できます。