従来の急速充電装置では、冷却機構としてファンを用いた空冷を採用していましたが、近年、高速に充電するため大電力・大電流化が進み、空冷では対応できないケースが増えています。
充電電流が300Aを超えると、人がケーブルを持つのが難しいほど発熱してしまうようです。そこで、ケーブルの冷却に液冷を用いた急速充電装置が登場しています。
Simcenter FLOEFDによるジュール発熱を考慮した冷却解析の事例を示します。
Simcenter FLOEFDのオプションモジュールである “Electronics Coolingモジュール” または “Power Electrificationモジュール“ を活用することで、電流・電圧等に起因するジュール発熱を考慮することができます。
解析モデルは、充電器の周囲を計算領域とします。また、充電器本体の対称性を考慮し1/2モデルとします。
本事例では、定常解析を行います。
充電器本体における内部の様子です。
ケーブル内を通る銅線、充電器と車体側の充電ポートの接続部分を冷却するための冷却水が通る流路が存在しています。
冷却水の流路は、接続部分に発生した熱を効率的に奪うため、接続部分を周回する形状となっています。
本事例では、一定の体積流量で冷却水が流れる条件を与えます。
充電中に流れる大電流により、充電端子にはジュール発熱が生じます。
銅線の充電スタンド側の端面に電流、銅線の車体側端面に電圧を与えます。
また、充電器と車体側の充電ポートの接続部分に生じる、電気的な接触抵抗も考慮します。
ここでは、冷却水の有無による充電器の温度分布を比較します。
冷却水が流入しない場合、端子部分の温度が非常に高いことが分かります。
冷却水により、ジュール発熱した端子部が冷やされていることが見受けられます。
Simcenter FLOEFDは、CADソフトに統合された熱流体解析ソフトです。
簡便な操作で、高精度な解析結果を求めることが可能です。
FLOEFDの様々なオプションモジュールがあります。
本事例では、 ジュール発熱を考慮した熱流体解析をご紹介しましたが、これは“Electronics Cooling” あるいは
“Power Electrification”を用いることで実現可能です。
Simcenter FLOEFDは、検討サイクルの短縮化・省力化の一助となります。
是非ご活用ください。