車両走行時にロードノイズが発生し、乗員に騒音として伝わることで、不快感が発生します。
ロードノイズは路面からタイヤの摩擦などにより発生し、車体から車内(音響空間)を介して乗員の耳へ伝わります。
この際、車体や音響空間の伝達特性を分析し、対策をすることで、このロードノイズを軽減することができます。
今回の例では、音響解析の寄与率を分析してどの部分を対策すれば良いか調べました。
ある着目周波数帯域の振動数で車体パネルの共振が発生していました。しかし、どこの部位に対策を施せば良いか不明でした。
構造-音響連成解析では、まず構造と音響のそれぞれのモードを算出します。
これらのモードを連成させて、加振力に対する耳位置の音圧レベルを評価します。
このような問題は通常、モード寄与分析、パネル寄与分析などを実施して対策の方向性を決めます。
改めて構造側42Hzのモードを確認します。
リアフロアとリアクロスメンバーの間が振動の腹となし車体上下方向に振動していることがわかります。今回はこの部分の剛性を上げることで、着目帯域のピーク周波数をシフトするように対策方針を決めました。
車室内こもり音の対策は、遮音材や吸音材で対応できる場合もありますが、原因がパネル共振の場合は難しくなります。車両開発フェーズの終盤では、パネル部品の骨格や詳細形状が固まっているため、変更ができず、ウェイト(重り)で対応することもあります。
折角、軽量化した車体に対してウェイトを追加して調整するのは本末転倒であるため、このような状況にならない様、車両開発の前段階で問題を発見する解析技術を構築し、対策を実施しておくことが重要です。