自動車設計においては、使用環境に応じた信頼性を確保する必要がありますが、例えば、荒れた路面を走行した場合に車両に加わる荷重は不規則な波形であり、実機テストで同様の路面を走行しても入力波形が同じになるとは限りません。この様な場合、実際の入力波形から統計的な評価ができるランダム応答解析を実施することで、応力を出力し、信頼性評価を行うことができます。
実際の使用環境において、サスペンションアームの信頼性が確保できているか確認したい。
実走行における路面からの入力データを用いて、ランダム応答解析を実施します。実走行で得られた入力値は、荷重を周波数変換した後、単位周波数幅あたりのパワー値として加振します。
解析結果の評価は、RMS値(結果の統計的な値)を算出し、S-N曲線と照らし合わせることで評価します。
加振関数はPSD(パワースペクトル密度)を使用し、実走行から得られた実働波をフーリエ変換したものや、JISで規定されたものを使用します。
解析はサスペンションアーム単体で実施し、ショック取り付け部に PSDを加振します。サスペンションメンバー取り付け部のリンク機構は適当な境界条件を設定します。
解析結果の評価は、RMS値(結果の統計的な値)を算出し、信頼性 を考慮した(3σなど)により値を評価します。
算出されたRMS応力値をS-N曲線と照らし合わせることで、実走行において、どの程度の耐久性があるか確認します。今回の解析で算出された応力は疲労限度を下回っており、繰り返しの入力に対して疲労破壊に至らないという結果を得ました。