電気自動車の開発・市販化が急速に進んでおります。大容量バッテリーの搭載は必須であり、フロア下に配置されることが多いです。
ただし、バッテリーは衝撃や熱に弱いという特性があります。
本解析では、自動車側面のポール衝突時に、バッテリーの保護に効果的なサイドフレームの板厚を検討しました。
車体がポールに衝突した際、バッテリーケースがバッテリーとあたるまでに、エネルギー吸収を満し、かつ、ケース反力が目標値に達するかを評価します。
初期仕様では、反力が目標値に到達しておらず、性能を満足しておりませんでした。
ケースのサイドフレームは目の字断面構造をとっております。 今条件では、サイドフレームがクロスメンバーとポールに挟まれた際、下側リブのみ大きく座屈するモードとなり、リブ部の反力が低下しました。これが、ケース全体の反力が低かった要因と推定されます。
一方、上側リブは歪みも少なく、反力への寄与が少ないと思われます。
下側リブは板厚を上げることで座屈を抑え、フレーム反力を上げます。
一方、反力寄与が少ないと推定した上側リブは、板厚を下げ、ケース重量を増加させず、性能を満足させる狙いです。
改善案の変形モードは下側リブの座屈が抑えられております。
この結果、初期仕様に対してフレーム反力が24%向上し、重量増加無しで目標を達成できました。
製品開発前によりよい板厚バランスの予測を立てることができます。
また、今仕様の解析ではサイドフレーム内のリブが均等に変形するモードとなり、バッテリーケース内壁の内倒れも減少し、バッテリー本体にあたりにくくなるという2次効果もありました。