DIPROニュース

2019

2月号2019.2.13 公開

加工現場のリードタイムを改善
~NX12 CAM新機能ご紹介~

NX12 CAM新機能

2019年1月末、弊社よりNX12のリリースを開始いたしました。ここではNX12のCAM機能に焦点をあて、機械加工で有益な機能につきましてご紹介いたします(表1)。

(表1) NX12.0.2mp1 新機能 ⁄ 機能改善項目一覧
NX12.0.2新機能 ⁄ 機能改善項目 概要
Convergent Models 測定器で計測されたポリゴンデータをNXのソリッドへ変換する機能。
3 Axis Milling Addaptive Milling(高速粗加工)およびArea Milling(走査線加工)に対する機能改善の他、Guiding Curves(型補修用ツールパス作成機能)が新機能として追加。
5 Axis Milling Multi Blade(ブリスク ⁄ インペラ専用加工機能)に対する機能改善の他、Tangent Barrel Tool(楕円工具)の適用、Multi-Axis Guiding Curves(5軸加工用Area Milling)が新機能として追加。
さらに産業用ロボットの先端にミーリング主軸を搭載したロボットによる同時5軸加工機能について機能を強化。
Multi-Axis
Additive Manufacturing
ハイブリッド工作機械向け機能を提供。インペラ等、3軸では積層が難しいインバース部位に対し、金属やプラスチックによる造形を実現する機能。

Convergent Model

NXCAMでは測定器のアウトプットであるファセットデータを加工素材として活用することが可能です。しかしながらファセットデータは容易に編集することはできません。ファセットデータを編集するためにファセットの分割後、複数のサーフェスを作成しトリム後ソリッド化する等、非常に時間を要する作業が必要です(図1)。

(図1) ファセットのソリッド化
(図1) ファセットのソリッド化

これに対しConvergent ModelはファセットデータをNXソリッドへ変換します。変換後のソリッドは通常のソリッドとして編集/追加が可能となります。この結果、ファセットデータから正確な製品モデルをソリッドとして作成することが可能となりました(図2)。

なお、ファセットデータにありがちな「三角パッチの抜け(穴)」に対し、自動穴埋め機能も提供されています。

(図2) Conversion Modelによるソリッドモデルと加工例
(図2) Conversion Modelによるソリッドモデルと加工例

3Axis Milling

NXCAMが苦手とする高速粗加工と主に型補修のための加工機能が強化されました。

高速粗加工として提供されるAdaptive Millingはツールパスを減速させず、可能な限り一筆書きとなるツールパスを作成します(図3)。さらに高速加工を実現するためにツールパスのコーナRの大きさを任意に決定したり、一筆書きの加工で最後に残った柱部位に対し、Z方向からスパイラルで除去する仕組み(図4)等、高速粗加工を意識した詳細な機能を提供します。

(図3) Adaptive Milling
(図3) Adaptive Milling
(図4) Pillar Cutting
(図4) Pillar Cutting

主に型補修用機能として活用されるGuiding CurvesではMorphingとRacetrack around Guideが新規に追加されました。

Morphingは2曲線間の間を指定ピッチでツールパスを作成する機能です(図5)。NX12.0.2より前のバージョンでは、この様な領域に対しサーフェス領域やストリームラインによりツールパスを作成しました。この手法では、補助面や補助線をモデリング機能で作成する等、時間がかかることが課題でした。Morphingはこの課題を改善し、補助面や補助線を作成せず形状上に存在するエッジ曲線から形状なりのツールパスを作成します。

またRacetrack around Guideは1本の曲線を中心に、その周りをオーバル・サーキットの様なツールパスを作成する機能です(図6)。型の補修部位に曲線を1本作成するだけで、補修用ツールパスが作成されます。

(図5) Morphing
(図5) Morphing
(図6) Racetrack around Guide
(図6) Racetrack around Guide

5Axis Milling

同時5軸加工では楕円工具(Tangent Barrel Tool)が活用できるようになりました。楕円工具の活用によりピッチを広げることが可能となります。この結果、広いピッチで低いスカロップハイトとなる加工面が得られるため、劇的に加工時間が短縮されます(図7)。

(図7) 楕円工具(Tangent Barrel Tool)とその効果
(図7) 楕円工具(Tangent Barrel Tool)とその効果

3軸加工で追加されたGuiding Curvesが同時5軸加工にも追加されました。この機能は溝部位や凹部位で効果的です。

NX12.0.2より前のバージョンで溝部位に対するツールパスを同時5軸加工で作成する場合、補間機能を活用し任意の位置に複数の工具軸を設定します。この結果、製品との干渉を回避し、かつ滑らかに工具が動作するツールパスが作成されます。NX12.0.2の新機能5軸加工用Guiding Curvesでは、このツールパスを2曲線間の選択のみで実現します(図8)。

また1本の曲線を元にオフセットしたツールパスを凹部位に作成します。凹部にフィレットがあればその中心線をオフセットすることで、凹部位の品質を確保することが可能となります(図9)。

(図8) Guiding Curves(Morphing)
(図8) Guiding Curves(Morphing)
(図9) Guiding Curves(Constant Offset)
(図9) Guiding Curves(Constant Offset)

Multi-Axis Additive Manufacturing

3Dプリンターの登場により、材料に対する調達期間の短縮や費用の削減が可能となりました。JIMTOF 2018では、ハイブリッド工作機械(レーザー金属積層+同時5軸加工)が展示され、工作機械の中で材料を造形し、直ちに加工を実施することで短時間で製品を作成する技術が話題となりました(図10)。

(図10) ハイブリッド工作機械概要
(図10) ハイブリッド工作機械概要

ハイブリッド工作機械発表後、SiemensはDMG森精機と協調しNXCAMでハイブリッド工作機械の活用を可能とする技術を培ってきました。ここで培われた技術は2018年8月よりDMG森精機以外のハイブリッド工作機械へも順次適用されることとなりました。

NX12.0.2より提供される機能は「Planar Additive」および「Rotary Additive」です。「Planar Additive」は平面上にレーザー積層を実施する機能(図11)、また「Rotary Additive」は回転体にレーザー積層を実施する機能です(図12)。レーザー積層により造形されたモデルに対し、NXCAMの従来機能を活用し旋盤加工やミーリング加工を実施します。この結果、ハイブリッド工作機械で造形と製品加工が可能となります。

なお、上記機能以外に自由曲面にレーザー積層を実施する機能として「Freeform Additive」(図13)および「Tube Additive」(図14)がございます。本機能は2019年12月頃にリリースが計画されています。

(図11) Planar Additive
(図11) Planar Additive
(図12) Rotary Additive
(図12) Rotary Additive
(図13) Freeform Additive
(図13) Freeform Additive
(図14) Tube Additive
(図14) Tube Additive

終わりに

SiemensではNXCAMのユーザビリティー改善に力をいれています。NXCAMのユーザビリティーに対し、各国のユーザより改善要望が上がっているとのことです。このためSiemensではMBGを中心にNXCAMユーザにインタビューを実施し改善項目を決めています。特に「オペレーション・ダイアログの階層が深い」、「習得に時間がかかる」との意見が多いそうです。

NX12.0.2でも新しいオペレーション・ダイアログを確認することができます。しかしながらバージョンアップで大きく変わる可能性があるとのことよりここで取り上げることは控えました。近い将来、簡単な操作で頭に描くツールパスを作成できることになりそうです。

今回ご紹介させていただいた新機能は、7月30日から8月1日の5日間、バンコク(タイ)においてSiemensがアジア・パシフィック向けに開催した「Technical Workshop in Bangkok」にて展開された内容です。本ワークショップでは上記機能以外にも新機能・機能改善についての展開がありました(表2)。

(表2) Technical Workshop in Bangkokにて展開されたその他新機能/機能改善項目一覧
NX12.0.2新機能 ⁄ 機能改善項目 概要
Part Manufacturing
Data Management
Teamcenterの機能であるMRL(Manufacturing Resource Library)やProcess Planningを活用した、ものづくりのためのデータ管理環境を提供。
Referenced GMC
(Generic Motion Control)
プローブでの機上計測や加工用ツールパスに対し、ユーザ独自の動作を実現する機能。
NX12.0.2ではユーザビリティーを改善し、より簡単に動作を作成できる環境を提供。
Wire EDM 4軸加工機能に対する機能改善。4軸加工用ジオメトリ選択について機能を改善。
Validation and Simulation Integrated Simulation & Verification(IS&V)に対する機能強化。NX上でNCデータの編集機能を提供。さらにオペレーション毎に色別に加工結果を表示。
Fixed Plane
Additive Manufacturing
3Dプリンタ(パウダーベットタイプ)の向け造形機能。
FBM Deep Dive Traninng Feature Based Machining(FBM)に対する技術者向け詳細トレーニング。Teaching Modeの活用手法についてドイツでの事例を交え紹介。

本ワークショップには講師を含め26名が参加しました。ドイツ、日本、中国、韓国、タイ、シンガポール、インドのNXCAMエンジニアが参加しています(図15)。参加者とのコミュニケーションを通じ、アジア・パシフィックの加工現場の実情を少し垣間見ることができました。

アジア・パシフィックでは、最も人気がある工作機械はマザック製工作機械であり、INTEGREXが特に人気があるとのことでした。マザックが提唱する「Done in One」を考察すれば当然のことかもしれません。また同時5軸加工についても主流となりつつあるとのことです。5 Axis Milling説明の際には、予定された時間を超えてまで議論していました。新しい道具を活用することで、日本のものづくりとの距離が縮まりつつあるかもしれません。

弊社では今後も積極的にSiemensが主催するフォーラム等に参加し、世界各国での加工現場での取り組み等をキャッチアップしながら、タイムリーに情報提供いたします。

(プロダクションエンジニアリング部 課長SE 鈴木)
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